事業所番号を引き継ぐなら一括届出が便利
届出にかかっていた手間と時間を大幅短縮
グループ全体で情報管理できるメリットも

グループ会社向けに事業所番号を引き継ぐ手続き
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この解説コラムのシリーズでは、グループ会社向けに介護事業所の事業継承を想定して、事業所番号を引き継ぐ手続きについてもフォーカスして行きましょう。
その背景に、介護業界では大手グループ会社であっても、運営する親会社が変更になることや、中小企業がグループ組織へ統合・編入されることなど、運営母体の変更が多いことです。
このような運営する親会社やグループ組織へ変更になる事業継承では、介護事業所の指定申請や変更届出が必要となりますが、それぞれの事業所ごとに、申請や届出を手続きしていくと、膨大な時間と手間がかかってしまいます。
また手続きする事業所数が多いと、どうしても入力ミスやヌケ・モレといった、情報エラーが発生するリスクもあるため、しっかりと情報管理する必要があります。
そのためこのコラムでは、グループ会社の事業継承に向けて、事業所番号を引き継ぐ手続きをチェックして、効率的にかつ着実に、申請・届出する方法をご紹介します。
介護事業所を運営する親会社の変更について〔事業継承〕
・親会社の変更について、その法人間で法的な手続きを履行して、事業の継続性に支障が出ないように進める必要があります。
・法人の代表者や役員構成、登記事項などが変更になる場合は、変更日から10日以内に、変更届出を提出する必要があります。
・親会社の変更は、介護事業所の運営における大きな変更になりますので、自治体にも事前に相談して必要な手続きやスケジュール、提出物など確認することも重要です。
■電子申請の解説コラム|事業継承で引き継ぐなら
・事業継承と事業譲渡の違い
・グループ会社へ事業継承するなら
・事前に管轄する自治体にも相談
・事前に用意するもの①はGビズID
・事前に用意するもの②は登記情報
・電子申請届出システムでの手続き
・グループ店向けの手続きまとめ
事業継承と事業譲渡の違い
まず前提として、介護事業所を運営する会社の変更について、主な事業継承と事業譲渡のケースについて整理して行きましょう。
◆主な事業継承と事業譲渡のケース
グループ会社への事業継承
:(株式取得などで)相手先のグループ組織へ統合・編入する場合
▽
介護事業所の指定や運営を引き継ぐ(事業所番号を引き継ぐ)
▽
既存事業所について、法人情報を一括変更する手続きがおすすめ
→劇的に効率化できる一括変更メニューが活用できます
別会社への事業譲渡
:(合併買収などで)相手先の会社へ事業を譲渡・売買する場合
▽
介護事業所の指定や運営を引き継がない(事業所番号は取り直し)
▽
既存事業所は廃止届出して、新規事業所を指定申請する手続きが必要
→通常の指定申請と廃止届出メニューを利用することになります。
この前提を踏まえた上で、グループ会社へ事業継承することを想定して、その準備や手続きにフォーカスしていきましょう。
グループ会社へ事業継承するなら
グループ会社へ事業継承するなら、それぞれの介護事業所で変更届出を1件ずつ行うと、膨大な時間と手間がかかってしまいますが、まとめて一括で行うという機能が使えます。
◆グループ会社への事業継承
グループ会社(グループ本部)
統合・編入される会社
・〇〇店(居宅介護支援)
・〇〇店(訪問介護)
・〇〇店(訪問看護)
・〇〇店(通所介護)
・〇〇店(福祉用具)
グループ会社へ事業継承するので、法人情報を変更届出する手続きが必要になりますが、一括届出で効率化できるメリットがあります。
〇届出にかかる手間と時間を大幅に短縮できる
〇グループ全体で、法人情報を統一管理できる
事前に管轄する自治体にも相談
運営する法人情報の変更については、その法人間で法的な手続きを履行して、事業の継続性に支障が出ないように進める必要があります。
→グループ会社へ統合・編入する旨や、介護事業所の運営を引き継ぐ旨のリリース文面(合意書)などを用意しておきましょう。
そして事業継承するにあたっては、管轄する自治体にも事前に相談して、必要な手続きやスケジュール、提出物など確認しておきましょう。
→グループ会社への変更は、介護事業所の運営における大きな変更になりますので、各自治体にも事前相談しておくのがスムーズです。
その他にグループ会社の業務管理体制(運営規程や監査方法など)に変更がある場合も、その内容を届け出る場合があります。
→グループ全体での法令順守として、これらのコンプライアンスにも配慮しておきましょう。
事前に用意するもの①はGビズID
まず事前準備で1つ目で必要なのは、GビズIDの「プライム」と「メンバー」を、「グループ会社」と「グループ支社」向けに、それぞれ割り振って登録しておくことです。
◆GビズIDのアカウント
グループ会社(グループ本部)プライム
グループ支社(介護事業所):メンバー
・〇〇店(居宅介護支援):メンバー1
・〇〇店(訪問介護):メンバー2
・〇〇店(訪問看護):メンバー3
・〇〇店(通所介護):メンバー4
・〇〇店(福祉用具):メンバー5
参考:過去の解説コラム
GビズIDの内容やよくあるNGケースについては、過去の解説コラムでも詳しく紹介していますので、こちらをご覧ください。
1-15.2025年最新|電子申請届出システム ステップ1:GビズIDの取得ガイド
事前に用意するもの②は登記情報
次に事前準備の2つ目には、意外にもアナログな方法かもしれませんが、紙で入手した法人登記の情報をスキャンして、データ化するという方法です。
登記情報を入手して提出する方法
1.窓口で紙を入手して、データ化するパターン
:法務局の窓口で紙の登記情報を入手して、スキャンしてデータ化して提出
2.ネットから紙を入手して、データ化するパターン
:法務局のネットサービスで紙の登記情報を入手して、スキャンしてデータ化して提出
3.ネットからデータを入手して、提出するパターン
:登記情報提供サービスでデータの登記情報を入手して、その照会番号を提出〔追記〕
こうして見ると、3のパターンがネットでデータを入手して、そのまま提出できる方法になりますが、この場合は提出する先ごとに、照会番号の複数取得が必要となり、店舗数が多いグループ会社では、その手間と費用がかさんでしまいます。
そのためグループ会社の場合は、法務局の窓口/ネットサービスから、紙を入手して、スキャンしてデータ化するのが、1回の手続きで済ませる効率化になります。
※一部の自治体では、登記情報提供サービスでの提出を求める場合もあります(追記)
電子申請届出システムでの手続き
ここからが、厚生労働省の電子申請・届出システムにログインして、運営する法人情報を変更する手続きを見てきましょう。
その手続きはこのシステムにログインして、申請届出メニューの「法人情報に係る一括変更届出」より、必要な事業所情報の入力やファイルを選択して、確認の上で届出していきます。

出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
■手順①一括変更届出する事業所の検索
一括して変更届出の対象とする事業所を、次の条件で検索します。
・介護保険事業所番号
・事業所名称
・事業所所在地
・届出先
・サービス種別
■手順②一括変更届出する事業所の確定
手順①の検索結果から、一括して変更届出する事業所を選択して確定します。
検索結果の一覧から、対象事業所を選択した後に「追加」ボタンを押すと、画面下部の「追加された事業所一覧」に対象事業所が追加されます。
※「追加された事業所一覧」は事業所を最大で300件まで追加することができます。
■手順③各事業所の情報や必要書類の編集
手順②の「追加された事業所一覧」から対象となる各事業所の「編集」ボタンを押して、事業所ごとの編集ページに移り、それぞれの届出先や事業所情報の入力、自治体ごとに個別に必要な添付書類を編集します。
その後は同様に、一括変更届出する全ての事業所について、これらの入力と編集を進めていきます。
■手順④申請者・変更事項の入力
次に申請者の情報を入力して、法人情報に係る変更事項を入力します。
例「申請者の名称」「主たる事務所の所在地」「代表者の氏名、生年月日、住所、職名」「登記事項証明書、誓約書、条例等」
■手順⑤法人情報の変更
その後は画面の指示に従って、法人情報の変更届出を作成して、確認・届出をすることで、各事業所の届出が、選択した届出先に提出されます。
※法人情報の変更届出は、【変更前】と【変更後】に分けて、情報を入力していきます。
法人情報を一括して変更届出をしたものが、事業所ごとの変更届出として、それぞれ管轄する自治体へ提出されます。
出典:厚生労働省ホームページより引用・編集
グループ店向けの手続きまとめ
ここまでがグループ会社向けに、電子申請を効率化する解説コラムその4になり、グループ会社への事業継承を想定して、事業所番号を引き継ぐ手続きを効率化する
方法になります。
この手続きも知っておいて利用することで、電子申請や届出がより便利になり、業務の効率化が図れるものなので、その要件や手続き方法などをチェックしておきましょう。
グループ会社へ事業継承するので、法人情報を変更届出する手続きが必要になりますが、一括届出で効率化できて、グループ全体で情報管理できるメリットがあります。
また電子申請する際には、管轄する自治体によってもその対応や、受付する内容が分かれてきますので、事前に自治体ヘ確認しておきましょう。(自治体へ確認を取っておけば、電子申請もスムーズです)
◆電子申請のシリーズコラム ラインナップ
2025年最新「電子申請届出システムの解説コラム」|イントロダクション
2025年最新「電子申請届出システムの解説コラム」|手続きするステップ分け
2025年最新|電子申請届出システム ステップ1:GビズIDの取得ガイド
2025年最新|電子申請届出システム ステップ2:登記簿データの取得ガイド
2025年最新|電子申請届出システム ステップ3:事業所情報の利用ガイド
2025年最新|電子申請届出システム よくある質問と回答【前篇】
2025年最新|電子申請届出システム よくある質問と回答【後篇】
番外篇「電子申請届出システムの解説コラム」|特定サービスや加算に便利な機能
番外篇「電子申請届出システムの解説コラム」|グループ会社や事業継承で超便利な機能
番外篇「電子申請届出システムの解説コラム」|介護事業所の体制加算にフォーカス
グループ会社向け「レベルが違う!電子申請の解説コラム」グループ会社なら一括届出
グループ会社向け「レベルが違う!電子申請の解説コラム」事業所情報の変更なら
グループ会社向け「レベルが違う!電子申請の解説コラム」6年に1度の更新なら
グループ会社向け「レベルが違う!電子申請の解説コラム」事業継承で引き継ぐなら
◆「電子申請のトリセツ」事業所サポートプラン
介護事業所さんの目線で、電子申請を申請する要点や最新情報を紹介しています。

◆電子申請のお試しサポートは
申請する介護事業所さん向けに、手続きのコツや参考情報をアドバイスしています。
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◆コラム記事の担当者
・高瀬 誠(コンサルタント、ソーシャルワーカー)
:公表システムサポート運営事務局
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出典・参考情報
厚生労働省「電子申請届出システム」
厚生労働省「電子申請届出システム」ヘルプ
・操作マニュアル_(介護事業所向け)
・操作ガイド_(介護事業所向け)
・電子申請届出システムの利用にあたってのGビズIDの運用について
・電子申請届出システム操作ガイド(事業所向け)説明動画
厚生労働省「電子申請届出システム」の機能の追加・改善(令和6年10月版)について(周知依頼)
民事法務協会「登記情報提供サービス」
