2025年度対応|介護サービス事業所が押さえるべき
運営規程・重要事項等のWEB掲載義務化と対応手順

このコラム記事では、制度の背景・掲載すべき項目・掲載方法・実務での注意点について、介護サービス事業所の視点でわかりやすく解説します。
なぜ「WEB掲載」が義務化されたのか
これまで、運営規程や重要事項は主に事業所内の「書面掲示」で利用者や家族に示されていましたが、閲覧範囲が限定される面がありました。
そこで2025年度からは、法人ホームページや介護サービス情報公表システムなどのインターネット上で情報を公開することが義務付けられました。
この変更は、利用者・家族・ケアマネジャーなどが、いつでも・どこでも事業所情報を確認できる環境を整えるための制度改正です。
出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」より引用・編集
WEB掲載義務の対象と範囲
この制度は、原則として すべての指定介護サービス事業所(訪問介護・通所介護・施設サービス等) が対象となります。
掲載対象となる主な情報には、事業所の運営に関する基本事項や、利用者のサービス選択に資する情報が含まれます。
この掲示規制の見直しは、厚生労働省「社会保障審議会 介護保険部会/介護給付費分科会の審議によって定められたもので、詳細は厚生労働省の発表資料や省令に掲載されています。
参考:厚生労働省「社会保障審議会 介護保険部会」
参考:厚生労働省「社会保障審議会 介護給付費分科会」
参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
掲載すべき運営規程・重要事項の内容
介護サービス事業所が公表すべき情報として、次の内容が挙げられます。
○訪問介護をケース事例に挙げると、次のような項目を記載することが求められます

基本的な運営規程
-
事業所の目的および運営方針
-
従業者の職種・員数・業務内容
-
営業日・営業時間
-
提供するサービスの内容・利用料等
-
通常の実施地域
-
緊急時の対応方針
-
虐待防止措置等の方針
-
苦情処理体制 など
利用者選択に資する追加情報
利用者やケアマネジャーの視点から、次のような情報も掲載すると良いでしょう。
-
業務継続計画(BCP)や感染症対策
-
ハラスメント対策・個人情報保護方針
-
広告規制に関する方針
-
事故・苦情対応フロー など
これらは「重要事項説明書」等に記載する内容とも整合させることで、実務上の負担を減らせます。
WEBサイトへの掲載方法
運営規程・重要事項等の情報をインターネットで公表する方法として、主に次の2つが考えられます。
・ホームページを持っている法人では、「運営規程に関する情報掲載欄」を追加して、そこへ必要な情報を掲載・更新していくことになります。
・また介護サービス情報公表システムにも、「運営規程の重要事項に関する情報掲載欄」が整備されて、ファイルを添付・公表する仕組みができました。
◆ 法人ホームページに掲載
自社の公式サイトに新しいページを作成し、運営規程・重要事項の内容を掲載します。
公開後は、URLを各種書類(重要事項説明書・リーフレット等)へ記載し、利用者に周知します。
◆ 介護サービス情報公表システムで掲載
都道府県が運営する 「介護サービス情報公表システム」 を使い、PDF・Excel等のファイルをアップロードして掲載します。
この方法で掲載する場合も、内容は最新のものに更新しておく必要があります。
「とうきょう福祉ナビゲーション」からの情報をまとめると、次のような手続きで公表情報の掲載が可能になっています。
■東京都 介護サービス情報報告システムの場合




・介護サービス情報報告システムにログインする
・手順3事業所の特色のタブをクリックする
・手順3事業所の特色の「1.事業所の特色」をクリックする
・画面下へスクロールして、法令・通知等で「書面掲示」を求めている事項の一覧から、利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項(運営規程の概要等)の情報欄から「ファイルを選択」する
※PDF・Excel・wordファイルのみ
※2MBを超えるファイルはアップロードできません
・ファイル選択後に、画面下の「記入した内容をチェックして登録する」をクリックする
出所:とうきょう福祉ナビゲーションより引用・編集
公表・更新の実務上の注意点
-
公開した内容は 定期的に見直し・更新 する
-
運営規程の改正があった場合は 速やかに掲載内容も更新
-
ファイル掲載の場合、 ファイル名・更新日を明示する
-
公表したURLを 利用者説明・案内文に記載して透明性を高める
掲載漏れや古い情報のまま放置すると、介護保険の運営基準違反として指導対象になる可能性があるため注意が必要です。
まとめ|事業所が今すぐ始めること
-
運営規程・重要事項の内容を整理する
-
掲載対象項目をリスト化して優先順位を決める
-
法人ホームページ・公表システムのいずれかで WEB掲載を実施
-
掲載後も定期的な 更新・点検体制を整備 する
WEB掲載は事業所の透明性・信頼性を高める大きな一歩です。2025年度の公表義務化に向けて、早めに体制を整えましょう。
》》》次のコラム2-2.『運営規定と併せて掲載。介護事業所の重要事項&追加事項』
【最新情報】詳しくは、こちらのシリーズコラムでも解説しています。
2025年最新版「運営規程や重要事項の解説コラム」イントロダクション

◆「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランは
重要事項のチェックや見本例、紙と電子を組み合わせた掲示方法など解説しています。
■出典(参考情報)
厚生労働省「社会保障審議会 介護保険部会」
厚生労働省「社会保障審議会 介護給付費分科会」
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
とうきょう福祉ナビゲーション「令和6年度東京都介護サービス情報の公表計画」
