2025年最新|介護事業所の運営規定や重要事項をアップデート
厚生労働省の省令や基準に合わせて、ここを見直しすればOK
【東京都の居宅サービス:福祉用具&特定施設】
東京都のひな形(記入例)を引用している介護事業所は必見!
《《《前のコラム すぐ分かる!30分で法務チェック・レビュー『ヘルパーAI』vol.1【訪問系サービス】
《《《前のコラム すぐ分かる!30分で法務チェック・レビュー『ヘルパーAI』vol.2【通所系サービス】
介護事業所の運営規程や重要事項の情報は、書面掲示に加えて電子掲示が義務付けられ、社会情勢や事業環境に応じて、次のような事項が追加・更新されてきています。
例)自然災害や感染症への対策(BCP)、人権に配慮した虐待や拘束の防止、ハラスメント対策、インターネットでの電子掲示など
このコラムでは引き続き、行政が例示する運営規定の(ひな形)記入例を元に、最新版にアップデートするポイントや変更点を解説していきましょう。
このコラムが、東京都が例示する運営規程の法務チェック・レビューの完結篇になります。
すぐ分かる!30分で法務チェック・レニュー『ヘルパーAI』vol.3

🔍 チェック対象となる主な通所系サービス
《東京都の居宅サービス:福祉用具&特定施設篇》
10.福祉用具貸与
11.福祉用具販売
12.特定施設入居者生活介護
◆このコラムでは、東京都が例示する運営規程をチェック
・ヘルパーAIによる法務チェック・レビューは
10.福祉用具貸与
11.福祉用具販売
12.特定施設入居者生活介護
・アップデートするポイントや変更点は
→記入例(ひな形)の最新版はダウンロードできます
AIによる法務チェック・レビューは
今回のコラムでも、東京都のひな形(記入例)を使って、AIを活用した法務チェック・レビューのケース事例を試してみましょう。
AIによる法務チェック・レビュー
・指針となる厚生労働省の省令や基準
・東京都の運営規程のひな形(記入例)
・法務チェック向けプロンプト(依頼する指示や命令文)
出典:厚生労働省、東京都福祉局ホームページより引用・編集
特定施設入居者生活介護の記入例は2つに分かれる
東京都が例示する運営規定の記入例では、特定施設入居者生活介護のケースでのみ、運営規程(Word形式)と重要事項説明書(Excel形式)に分かれます。
これは特定施設入居者生活介護のサービス類型が、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどの入居型ホームであり、それらの契約や情報開示のルールから、重要事項説明書を別立てで公表する経緯がありました。
今回のコラムは、厚生労働省が定める指定居宅サービスの基準に準じているかの観点になりますので、運営規程(Word形式)にフォーカスして法務チェックしていきます。
》》》ヘルパーAIが回答した、法務チェックやレビューの結果は
アップデートするポイントや変更点は
東京都のひな形(記入例)では、居宅サービス:訪問系サービスそれぞれについて法務チェック・レビューを行い、次のようなチェックのポイントと変更点が挙がりました。
【10.福祉用具貸与】⚠️追加で必要な改善点と法務チェック
感染症対策委員会・指針・研修
指摘事項:△ 衛生管理や消毒は記載されているが、感染症対策に特化した「委員会」「指針」「研修」の明示なし。
改善提案:これらを明記する必要があります。
・感染症対策委員会の6ヶ月に1回以上開催
・感染症予防・まん延防止の指針整備
・福祉用具専門相談員への感染症予防研修・訓練実施
委託業者の業務確認・記録
指摘事項:△ 保管・消毒を委託する記載はあるが、業務実施状況の定期確認・記録保存については明記されていない。
改善提案:「委託業務の実施状況を定期的に確認し、その結果を記録として保存する。」旨を追記する。
重要事項の掲示およびウェブサイトへの掲載
指摘事項:△ 事業所内掲示に関する記載はあるが、ウェブサイトへの掲載義務については触れていない。
改善提案:「重要事項は、事業所内に掲示するほか、原則としてウェブサイトにも掲載する。」と明文化する。
福祉用具目録の整備・閲覧
指摘事項:△ 福祉用具の取扱品目や料金に関する「目録」についての明記が不足。
改善提案:「取扱う福祉用具の品名及び利用料等を記載した目録を備え付け、利用者が閲覧できるようにする。」旨を追加する。
記録・保存の対象
指摘事項:△ 苦情・事故の記録や記載されているが、その網羅する対象に補足が必要。
改善提案:記録の対象として、以下の記録対象を網羅する。
・福祉用具貸与計画
・サービス提供記録
・身体拘束記録(様態・時間・理由)
・委託業者確認記録
・市町村通知記録
・苦情・事故対応記録(既に記載あり)
業務継続計画(BCP)
指摘事項:⛔ 業務継続計画(BCP)に関する記載がない。
改善提案:感染症や非常災害時に備え、業務継続計画(BCP)を策定し、従業者に周知し、定期的に訓練および見直しを行う。
ハラスメント防止
指摘事項:⛔ ハラスメント防止措置(指針や相談窓口など)に関する記載がない。
改善提案:職場において、業務上必要かつ相当な範囲を超える性的または優越的言動により、通所介護従事者の就業環境が害されることがないよう、ハラスメント防止に関する方針を明確にし、必要な措置(相談窓口設置等)を講じる。
【10.福祉用具貸与】📝まとめ:重要な修正ポイント
項目 | 対応状況 | 修正提案のポイント |
---|---|---|
感染症対策委員会・指針・研修 | 不足 | 委員会・指針・研修の3点セットを明記 |
委託先業務の定期確認と記録 | 不足 | 委託先業務の定期確認・記録義務を追記 |
重要事項のウェブ掲載 | 不足 | 事業所内掲示に加えて「原則Web掲載」明記 |
福祉用具目録の備付 | 不足 | 福祉用具の目録を整備して閲覧へ |
記録・保存の対象 | 曖昧 | 記録・保存の対象を網羅して修正 |
業務継続計画(BCP) | 未記載 | BCP策定・研修・見直しを追記 |
ハラスメント防止措置 | 未記載 | ハラスメント防止の方針明確化と対応策の明記 |
【11.福祉用具販売】⚠️追加で必要な改善点と法務チェック
福祉用具販売計画
指摘事項:△ 販売計画作成について記載はあるが、「利用者または家族への説明・同意取得・計画交付」「目標達成状況の確認」まで記載されていない。
改善提案:計画作成時に「利用者又は家族への説明・同意取得」「計画書の交付」「目標達成状況の確認」義務を追記する。
記録・保存の対象
指摘事項:△ 苦情・事故の記録や記載されているが、その網羅する対象に補足が必要。
改善提案:記録の対象として、以下の記録対象を網羅する。
・福祉用具販売計画
・サービス提供記録
・身体拘束記録(様態・時間・理由)
・市町村通知記録
・苦情・事故対応記録(既に記載あり)
感染症対策委員会・指針・研修
指摘事項:△ 衛生状態は記載されているが、感染症対策に特化した「委員会」「指針」「研修」の明示なし。
改善提案:これらを明記する必要があります。
・感染症対策委員会の6ヶ月に1回以上開催
・感染症予防・まん延防止の指針整備
・職員への感染症予防研修・訓練実施
業務継続計画(BCP)
指摘事項:⛔ 業務継続計画(BCP)に関する記載がない。
改善提案:感染症や非常災害時に備え、業務継続計画(BCP)を策定し、従業者に周知し、定期的に訓練および見直しを行う。
ハラスメント防止
指摘事項:⛔ ハラスメント防止措置(指針や相談窓口など)に関する記載がない。
改善提案:職場において、業務上必要かつ相当な範囲を超える性的または優越的言動により、通所介護従事者の就業環境が害されることがないよう、ハラスメント防止に関する方針を明確にし、必要な措置(相談窓口設置等)を講じる。
重要事項の掲示およびウェブサイトへの掲載
指摘事項:△ 事業所内掲示に関する記載はあるが、ウェブサイトへの掲載義務については触れていない。
改善提案:「重要事項は、事業所内に掲示するほか、原則としてウェブサイトにも掲載する。」と明文化する。
福祉用具の目録
指摘事項:△ 福祉用具の取扱品目や料金に関する「目録」についての明記が不足。
改善提案:「取扱う福祉用具の品名・機能・利用料を記載した目録を備え付け、利用者が随時閲覧できるようにする」旨を追加する。
【11.福祉用具販売】📝まとめ:重要な修正ポイント
項目 | 対応状況 | 修正提案ポイント |
---|---|---|
販売計画(説明・同意・交付・達成確認) | 不足 | 計画説明・同意取得・交付・目標達成確認を明記 |
記録・保存の対象 | 不足 | 記録・保存の対象を網羅して修正 |
感染症対策委員会・指針・研修 | 未記載 | 委員会開催・指針整備・研修訓練の明記 |
業務継続計画(BCP) | 未記載 | BCPの策定・研修・定期見直しを追加 |
重要事項のウェブ掲載 | 不足 | 事業所内掲示に加え「ウェブサイト掲載」を明記 |
福祉用具目録の備付 | 不足 | 品名・利用料記載の目録を備付し、随時閲覧可能とする |
ハラスメント防止措置 | 未記載 | ハラスメント防止方針と必要な措置(相談窓口等)を明記 |
【12.特定施設入居者生活介護】✅法務チェックのポイントと変更点
目的・運営方針の明確化
✅チェック内容:運営方針において、身体拘束禁止に関する内容(原則禁止、記録の保存)を記載しており適合。「地域との連携」「自立支援」「尊厳保持」等の観点も盛り込まれており省令の主旨に沿っている。
🔧 補足推奨:加えて介護サービス向上に資する委員会の明示が望ましい。
・利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置
従業者の職種・員数・職務
✅チェック内容:管理者、生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員、計画作成担当者について役割を明確に記載。
🔧 補足推奨:さらにハラスメント対策や認知症介護に係る研修も補完的に盛り込むとより望ましい。
・ハラスメント対策(性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動)を補足
・必要な従業者に対して、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させる措置
サービス内容の明記
✅チェック内容:サービスの種類(入浴、排せつ、機能訓練、健康管理等)が明記されており省令に準拠。外部サービス利用型の場合も、受託事業者の名称・住所・サービス種別を記載。
🔧 補足推奨:今後の運営指導に向けて、サービス記録の整備や運営規程の掲示、会計の区分に関する追記があった方が良い。
・サービス計画や内容、通知や苦情・事故に係る記録の整備と保存期間(完結の日から2年間)
・運営規程や勤務体制、その他の重要事項の掲示(ウェブサイト含む)
・事業所ごとに経理を区分して、事業の会計とその他事業の会計を区分
緊急時対応・災害対策・衛生管理
✅チェック内容:病状急変時の医師連絡、事故時の家族・行政への報告体制の整備あり。災害対策(避難訓練、防火管理責任者の設置)も省令に沿って記載。
🔧 補足推奨:今後の運営指導に向けて、業務継続計画(BCP)や感染症対策に関する追記があった方が良い。
・感染症や非常災害の発生時等の業務継続計画の策定や定期的な見直し、従業者への周知や研修・訓練
・感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会や指針、定期的な研修・訓練
個人情報保護・苦情処理
✅チェック内容:感染症・食中毒対策、個人情報保護、苦情処理の流れを明示。省令の衛生管理、苦情処理の基準要件に合致。
🔧 補足推奨:受付担当者の役職や連絡方法を明記すると、さらに望ましい。
その他の研修・広告など
✅チェック内容:虐待防止に係る研修、苦情体制、通報義務等が明確に対応。継続研修や秘密保持(離職後も含む)についても丁寧な記述。
🔧 補足推奨:事業所の誇大な広告や居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止についても、記載があった方が良い。
・広告をする場合に、その内容が虚偽又は誇大なものではない
・居宅介護支援事業者に対する便宜として、金品その他の財産上の利益を供与しない
【12.特定施設入居者生活介護】📝まとめ:全体評価
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
厚労省基準との整合性 | 非常に良い | 基本的に基準に沿っており、運用上も問題ない構成 |
文章の分かりやすさ・丁寧さ | 良い | 専門用語も丁寧に説明されており、介護事業所の職員にも理解しやすい |
改善が望まれる補足項目 | 一部補足あり | 災害や感染症対策、ハラスメント防止、サービスに係る記録や掲示、会計・広告など |
記入例(ひな形)の最新版はダウンロードできます
今回コラムの法務チェック・レビューを踏まえた、運営規程の最新版はこちら
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すぐ分かる!30分で法務チェック・レビュー『ヘルパーAI』アップデート版vol.3
10.福祉用具貸与
11.福祉用具販売
12.特定施設入居者生活介護
AIによる法務チェック・レビューの振り返り
このコラムでは、東京都が例示する運営規程(記入例)について、居宅サービス:福祉用具&特定施設について取り上げました。
まず福祉用具貸与と福祉用具販売については、その取り扱う用具やサービスなどが共通していることが多いことから、よく似た運営規程の展開になり、チェックで挙がる内容にも同様にパターンが続きます。
※同一の介護事業者で、この2つの指定サービスを受けている場合は、それぞれの運営規程が必要です
次に特定施設入居者生活介護については、そのサービスが利用者の生活や介護全般に関わるサービスのため、その運営を規定する内容や事項が細かく展開するものになります。
※特定施設入居者生活介護のサービス類型は、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどの入居型ホームになるため、厚生労働省が定める省令の他にも、高齢者住宅の法令や有料老人ホームの指針などにも、準拠する必要があります。
東京都が例示する運営規程の法務チェック・レビューのシリーズ
・すぐ分かる!30分で法務チェック・レビュー『ヘルパーAI』vol.1【訪問系サービス】
・すぐ分かる!30分で法務チェック・レビュー『ヘルパーAI』vol.2【通所系サービス】
・すぐ分かる!30分で法務チェック・レビュー『ヘルパーAI』vol.3【福祉用具&特定施設】
【事前の留意点】
・運営規程や重要事項等の情報は、令和6年度介護報酬改定における改定事項を受けて、全サービス共通して、インターネット上での電子掲示・公表することが求められます。(令和7年度より義務付け)
・運営規程や重要事項等の法務については、サービス提供する事業環境に合わせて、各自の介護事業所が責任を持って作成してください。(当サイト上にも、利用規約として免責事項や禁止事項等を定めています)
◆重要事項のお試しサポート
新宿の介護事業所向けには、重要事項のお試しサポートとして、30分で法務チェックして変更点や参考事例をアドバイスする、キャンペーンを行っています。
(新宿区の事業所向けに、7月末まで8~9事業所ほどを想定)
◆「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランは
介護事業所の運営規程や重要事項にフォーカスして、基本的な制度や規程の解説から、これまでの改定を踏まえた重要事項のチェック、「書面掲示」と「電子掲示」を組み合わせた掲示・公表方法など解説しています。
・URL:https://www.kaigokensaku.net/support-plan/contract_member/
参考情報(出典)
介護事業所の運営規程や重要事項等の情報については、厚生労働省や管轄行政の発表資料をご覧ください。
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人保健施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護医療院の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・国土交通省「高齢者の居住の安定確保に関する法律」
・東京都福祉局「東京都介護サービス情報」
・東京都福祉局「有料老人ホーム設置運営指導指針」