2025年「電子掲示は完結に(複合ワザ)」デジタル活用術の手引き 後篇
インターネット上で情報が完結する、デジタル活用術 後篇
はじめに
《《《前のコラム 3‑4.2025年度版「電子掲示は完結に(複合ワザ)」デジタル活用術の手引き 前篇
本コラムでは、前篇に引き続き、インターネット上での電子掲示を“完結”させる方法を、ホームページと介護サービス情報公表システムの2軸でご紹介します。
介護事業所の情報を上手く提出・公表することで、インターネットで情報が完結して、利用者や職員の募集にもなります。
また「書面掲示」から「電子掲示」へ連動することで、必要な情報がすぐに見られて、スムーズな案内にもつながります。
◆このコラムではホームページ&情報公表システム活用術を紹介
・インターネット上で情報が完結するデジタル活用術
・ホームページ活用術:情報を“入口”に集約
・情報公表システム活用術:定型化+報告対応
・IT導入支援制度で準備も安心
・デジタル活用術の振り返り
インターネット上で情報が完結するデジタル活用術
インターネット上で情報を掲載・公表する観点から、ホームページと情報公表システムの両方に載せることが、おすすめです。
ホームページ活用術:情報を“入口”に集約
自社で運営するホームページがあれば、事業所内の「書面掲示」と、インターネットでの「電子掲示」を組み合わせた、情報掲示・公表が可能となります。
書面+電子連携
既に導入した「1枚掲示」シートに、QRコードや短縮URLを記載して、自社ホームページへの誘導を図ります。
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更新と案内のしやすさ
書面は掲示を継続しつつ、電子側のみ随時更新できる構成に。
ホームページ活用術:アクセシビリティ対応
介護サービスを選択・利用する高齢者や家族の目線で、どなたにも使いやすく見直しすることもおすすめです。
WEBサイトの合理的配慮:ウェブアクセシビリティ
内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」
ウェブアクセシビリティは、ホームページがどなたにとって使いやすい状態を指します。
高齢者や障害者でも、不自由なくホームページを利用できることが理想です。
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高齢者・障害者の閲覧に配慮し、文字拡大や音声読み上げといったガイドラインに準拠しましょう。(2024年改正・障害者差別解消法対応)
情報公表システム活用術:定型化+報告対応
介護サービス情報公表システムに、「運営規程の重要事項に関する情報掲載欄」が整備されて、ファイルを添付・公表する仕組みができました。
東京都 介護サービス情報報告システムの場合
次のような手続きで情報掲載が可能
・介護サービス情報報告システムにログインする
・手順3事業所の特色のタブをクリックする
・手順3事業所の特色の「1.事業所の特色」をクリックする
・画面下へスクロールして、法令・通知等で「書面掲示」を求めている事項の一覧から、利用申込者の
サービスの選択に資すると認められる重要事項(運営規程の概要等)の情報欄から「ファイルを選択」する
・ファイル選択後に、画面下の「記入した内容をチェックして登録する」をクリックする
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所定フォーマットで定形入力
「介護サービス情報公表システム」は省令に準拠した形式で情報掲載でき、年1回の公表報告もこれで完結。
スマホ対応で閲覧性アップ
スマートフォンからの閲覧に対応しており、どなたからも操作しやすく、必要な情報を提供します。
※介護サービス情報公表システムは、厚生労働省が運営する仕組みになりますが、都道府県や地域ごとに委託している指定情報公表センターによって、その情報の掲載方法や公表内容が分かれます。(詳しくは地域ごとに委託元へ確認してください)
出所:「介護サービス情報公表システム」「とうきょう福祉ナビゲーション」より引用・編集
デジタル活用の“複合ワザ”
・書面掲示を「入口」に、QRコードでホームページへ誘導
・ホームページには、詳細情報+アクセシビリティ対応
・情報公表システムにも同じ内容を連携して、省令に準拠して+公表報告も完結
・変更があれば、電子(ホームページ+公表システム)のみ更新し、書面との整合性を簡便化
IT導入支援制度で準備も安心
補助金の活用例
IT導入補助金などを活用して、ホームページや公表システムの構築・運用コストを低減しましょう。
中小企業・小規模事業者向け「IT導入補助金」
中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
介護事業所向け「ICT補助金」※
※各都道府県ごとの補助金になり、補助対象や金額、期間が変動します
その名称や支援内容が変更となる場合があります
出典:経済産業省「IT導入補助金」、東京都「デジタル機器導入促進支援事業」より引用・編集
デジタル活用術の振り返り
今後も重視されるITを活用した情報掲示・公表
・2025年「運営規程や重要事項の解説コラム」では、運営規程や重要事項を掲示する「電子掲示」にフォーカスして、情報の掲出・公表の方法についてご紹介しました。
・インターネット上で情報を掲載・公表する観点から、ホームページと情報公表システムの両方に載せることが、それぞれの情報の特性を踏まえて、おすすめです。
:ホームページは作成・更新する手間はかかるが、介護事業所やサービスの情報を詳しく紹介しやすく、前述の書面と電子を組み合わせた情報掲示・公表が可能となる。
:情報公表システムは所定のフォーマットや形式になるが、広く介護事業所やサービスの情報を公表しやすく運営状況に関する項目や事業所の特色など、様々なPR情報を入力しやすい。
・そしてインターネット上に、介護事業所の情報を上手く掲載・公表して、広くサービスを提出・公表していくことが、良い形での利用者・家族、ケアマネジャーとのマッチングにもつながります。(スタッフの求人・募集にも有効です)
・また中小企業・小規模事業者向けの補助金や介護事業所向けの補助金なども活用しやすいので、ITやインターネットを利用した「電子掲示」であれば、費用負担の軽減もつながります。
次回予告
次回コラムでは、難しい運営規程や重要事項のひな型を、かんたんに調べる方法を紹介。実際の記入例も交えてご紹介します。
》》》次のコラム 3‑6.2025年度版「運営規程や重要事項のひな型検証」東京都 vs 大阪府
◆介護事業所の運営規程や重要事項の解説 シリーズコラム
2025年度版「運営規程や重要事項の解説コラム」イントロダクション
2025年度版「運営規程・重要事項チェック」フローチャート解説
2025年度版「書面掲示は簡単に(神ワザ)」スッキリ整理の実践
2025年度版「電子掲示は完結に(複合ワザ)」デジタル活用術の手引き 前篇
2025年度版「電子掲示は完結に(複合ワザ)」デジタル活用術の手引き 後篇
2025年度版「運営規程や重要事項のひな型検証」東京都 vs 大阪府
2025年度版「運営規程や重要事項のひな型検証」地域密着型サービス
2025年度版「運営規程や重要事項の解説」AIを活用した法務チェック 前篇
2025年度版「運営規程や重要事項の解説」AIを活用した法務チェック 後篇
◆「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランは
介護事業所の運営規程や重要事項にフォーカスして、基本的な制度や規程の解説から、これまでの改定を踏まえた重要事項のチェック、「書面掲示」と「電子掲示」を組み合わせた掲示・公表方法など解説しています。
・URL:https://www.kaigokensaku.net/support-plan/contract_member/
・対象者:介護事業所の代表者や管理者
・主な内容:制度改定を解説するスライド、チェックするフローチャート、「書面掲示」と「電子掲示」を組み合わせた掲示・公表方法、ひな形(事例集)など
◆コラム記事の担当者
・高瀬 誠(コンサルタント、ソーシャルワーカー)
:公表システムサポート運営事務局
参考情報(出典)
介護事業所の運営規程や重要事項等の情報については、厚生労働省や管轄行政の発表資料をご覧ください。
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人保健施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護医療院の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「介護保険制度等における指導監督」
・厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」
・厚生労働省「介護分野の文書に係る負担軽減」
・厚生労働省「介護現場におけるICTの利用促進」
・厚生労働省「第233回社会保障審議会介護給付費分科会」
・厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
・経済産業省「IT導入補助金」
・内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」
・デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」
・日本工業規格「高齢者・障害者等配慮設計指針」
・東京都「とうきょう福祉ナビゲーション」
・東京都「デジタル機器導入促進支援事業」