2025年「書面掲示は簡単に(神ワザ)」スッキリ整理の実践手引き
事業所内での「書面掲示」をスッキリまとめる、カンタン整理術
はじめに
《《《前のコラム 3‑2. 2025年度版「運営規程・重要事項チェック」フローチャート解説
介護事業所の運営規程や重要事項等の情報は、事業所内での「書面掲示」が原則ですが、令和6年度(2024年)の介護報酬改定により、「書面掲示」に加えて、インターネット上での「電子掲示」が義務化されました。
この背景には、介護業界の紙文書の負担軽減やICT活用などによる業務の効率化の流れがあり、最近の介護サービスの現場を見ると、サービスを利用する本人と家族が、スマートフォンなどの携帯電話を使うことが多く、サービスを提供するヘルパーやケアマネジャーの連絡でも、スマホやタブレットなどの利用が当たり前になっています。
そのため本コラムでは、書面掲示を「1枚スッキリ」方式で運用するヒントと実例を、紹介していきましょう。
情報を上手く提出・公表することで、事業所内の書類がスッキリして、大事な情報の整理整頓にもなります。
また「書面掲示」から「電子掲示」へ連動することで、必要な情報がすぐに見られて、スムーズな案内にもつながります。
◆このコラムでは書面掲示を“1枚スッキリ”に整理!
・2025年度からの掲示・公表の方法は
・「書面掲示」をそのままやってしまうと
・「書面掲示」をスッキリまとめると1枚に
・「書面掲示」から「電子掲示」へ連動すると
・今後の情報更新や運営指導への対応も可
2025年度からの掲示・公表の方法は
あらためて介護事業所の運営規程や重要事項について、その情報の掲示・公表の方法を見ていくと、事業所内での「書面掲示」に加えて、インターネット上での「電子掲示」が義務化されました。
対象の事業所
・全ての介護サービス事業所
情報の見直し
・事業所内での「書面掲示」に加えて、インターネット上での「電子掲示」
「書面掲示」をそのままやってしまうと
運営規程などの情報は、近年の社会情景や事業環境を踏まえて、対応すべきものは追加されてくるため、事業所内の壁面にそのまま掲示していくと、まるで一面が掲示物で埋め尽くされてしまいます。
掲載・公表する情報
・運営規程
・勤務体制
・重要事項
・契約書(ひな型)や料金表
掲載・公表する方法
・事業所内での「書面掲示」(書面による壁面等への掲示)
▽▽▽
上手く提出・公表することで、事業所内の書類がスッキリして、大事な情報の整理整頓へ
「書面掲示」をスッキリまとめると1枚に
「書面掲示」の原則と代替を組み合わせて、事業所内には「書面掲示」の1枚シートを掲示して、詳しくはインターネット上の「電子掲示」で情報提供するのがおすすめです。
事業所内での「書面掲示」 1枚でスッキリ
・介護事業所の運営規定や重要事項を掲示・公表する旨を記述して、分かりやすくQRコードを表示する
・スマートフォンやタブレットで、QRコードを読み込めば、インターネット上で詳しい情報が閲覧できる
▽▽▽
「書面掲示」から「電子掲示」へ連動することで、スムーズな情報案内へ
「書面掲示」から「電子掲示」へ連動すると
「書面掲示」から「電子掲示」へ連動することで、必要な情報がすぐに見られて、スムーズな案内にもつながります。
・事業所内での「書面掲示」 1枚でスッキリ
・インターネット上での「電子掲示」 ネットで詳しく
この書面と電子を組み合わせた情報を掲示・公表しておき、事前に介護サービスに係る関係者に案内(周知)しておく。
・介護サービスの利用者・家族へ案内しておく
・介護サービスのスタッフ・ケアマネジャーへ案内しておく
利用場面 | 書面掲示 | 電子掲示 |
---|---|---|
利用者・家族 | 掲示シートで1枚に | QRコードから詳細へ |
スタッフ・ケアマネジャー | 共通認識の共有ツールに | 更新情報をネットで案内 |
▽▽▽
すると今後、もしもの事態やケースが起こった場合や、さまざまな介護サービスの場面で、必要な情報を案内しやすくなります。
《事態やケースの場合》
・感染症や自然災害が起こった場合
・人的事故やトラブルがあった場合
・苦情やハラスメントがあった場合
《介護サービスの場面》
・訪問介護サービスで訪問した場面
・通所介護サービスで来所した場面
・施設介護サービスで夜勤中の場面
▽▽▽
必要な情報を、いつでも・どこでも案内できるので、介護サービスに係るいずれの人にもメリット
・・・サービスの適正化、リスクの管理、トラブルの防止などを含めた、総合的な情報案内になる
今後の情報更新や運営指導への対応は
運営基準省令・解釈通知に沿った「書面掲示」と「電子掲示」の原則を押さえているので、今後の情報更新や運営指導にも対応しやすくなります。
・事業所内での「書面掲示」 1枚でスッキリ
・インターネット上での「電子掲示」 ネットで詳しく
▽▽▽
今後の見直しや更新の場合に、すぐに対応しやすい
・今後の介護報酬改定で、追加された項目を見直しして更新した場合
・管轄行政の運営指導で、指摘された項目を見直しして更新した場合
▽▽▽
ネット上の情報を更新して、介護サービスに係る人に、見直しや更新した情報を案内すれば良い
書面は1枚でスッキリ、電子はネットで詳しくで、情報を案内する方法は変わらない
・・・そして介護サービスに係る人に、見直しや更新した情報を案内すれば良い!
《参考ケース事例》 詳しくはこちら
株式会社モテギでも、運営規程等の重要情報は、書面と電子のダブル掲示
・書面掲示:1枚シートで概要を掲示
・電子掲示:ホームページとQRコードで連携し、介護サービス情報公表システムにも反映
このように書面と電子の連携で、利用者や関係者への案内がスムーズになります
書面掲示を“1枚スッキリ”の振り返り
・2025年「運営規程や重要事項の解説コラム」3本目では、運営規程や重要事項を掲示する「書面掲示」にフォーカスして、情報の掲出・公表の方法についてご紹介しました。
・これまでの介護報酬改定の経緯や最近の介護サービスの現場を見ると、この背景には、介護業界の紙文書の負担軽減やICT活用などによる業務の効率化の流れがあります。
・そして「書面掲示」に関しても、原則として「書面掲示」(壁面等への掲示)は求められるが、備え付けの書面(紙ファイル等)または電子機器による電磁的記録(電子データ)の供覧で代替できる規程になっています。
・そのため、書面と電子を組み合わせた情報を掲示・公表する方法として、「書面掲示」は1枚でスッキリ、「電子掲示」はインターネットで詳しく、書面から電子へ連動することで、必要な情報がすぐに見られて、スムーズな案内にもつながります。
・すると今後、もしもの事態やケースが起こった場合や、さまざまな介護サービスの場面で、必要な情報を案内しやすくなり、いつでも・どこでも案内できるので、介護サービスに係るいずれの人にもメリットになります。
・本コラムでは、「書面掲示」は要点に絞って1枚にまとめつつ、「電子掲示」で補完する運用術をご紹介しました。次回は「電子掲示」の具体的な方法や活用技をご案内します。
》》》次のコラム 3‑4.2025年度版「電子掲示は完結に(複合ワザ)」デジタル活用術の手引き 前篇
◆介護事業所の運営規程や重要事項の解説 シリーズコラム
2025年度版「運営規程や重要事項の解説コラム」イントロダクション
2025年度版「運営規程・重要事項チェック」フローチャート解説
2025年度版「書面掲示は簡単に(神ワザ)」スッキリ整理の実践
2025年度版「電子掲示は完結に(複合ワザ)」デジタル活用術の手引き 前篇
2025年度版「電子掲示は完結に(複合ワザ)」デジタル活用術の手引き 後篇
2025年度版「運営規程や重要事項のひな型検証」東京都 vs 大阪府
2025年度版「運営規程や重要事項のひな型検証」地域密着型サービス
2025年度版「運営規程や重要事項の解説」AIを活用した法務チェック 前篇
2025年度版「運営規程や重要事項の解説」AIを活用した法務チェック 後篇
◆「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランは
介護事業所の運営規程や重要事項にフォーカスして、基本的な制度や規程の解説から、これまでの改定を踏まえた重要事項のチェック、「書面掲示」と「電子掲示」を組み合わせた掲示・公表方法など解説しています。
・URL:https://www.kaigokensaku.net/support-plan/contract_member/
・対象者:介護事業所の代表者や管理者
・主な内容:制度改定を解説するスライド、チェックするフローチャート、「書面掲示」と「電子掲示」を組み合わせた掲示・公表方法、ひな形(事例集)など
◆コラム記事の担当者
・高瀬 誠(コンサルタント、ソーシャルワーカー)
:公表システムサポート運営事務局
参考情報(出典)
介護事業所の運営規程や重要事項等の情報については、厚生労働省の発表資料をご覧ください。
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人保健施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護医療院の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「介護保険制度等における指導監督」
・厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」
・厚生労働省「介護分野の文書に係る負担軽減」
・厚生労働省「介護現場におけるICTの利用促進」
・厚生労働省「第233回社会保障審議会介護給付費分科会」