難しい運営規程や重要事項を、わかりやすく解説するコラム
地域密着型の運営規程や重要事項は、タイプ別にアレンジが必要!
《介護事業所の運営規程や重要事項向け》
◆このコラムでは地域密着型サービスの運営規程や重要事項を解説
・指針となる厚生労働省の省令や基準は
・近年の介護報酬改定における改定事項は
・サービス種別ごとの運営基準:ケース事例
・地域密着型サービスの運営規程や重要事項のひな形は
・タイプ別に運営規定や重要事項を定めていくパターン
《《《前のコラム 3-6.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」ひな型検証
令和6年度の改定(*)によって、介護事業所の運営規程や重要事項などの情報は、全サービスを通じてインターネット上での「電子掲示」が義務化されましたが、サービス種別ごとの運営基準(*)についても、細かな改定がされました。
前述のコラムでは。居宅サービス/施設サービスに分けて、サービス種別ごとの運営規程や重要事項のひな形(事例集)を取りあげましたが、このコラムでは地域密着型サービスでも詳しく見ていきましょう。
地域密着型サービスの運営規程や重要事項のひな形は、行政から公開されている記入例やモデル様式が少なく、既存の居宅サービス/施設サービスのひな形を参照して、サービスの基準や特徴となる部分を追加・変更していくなど、アレンジが必要となってきます。
事前の留意点
・運営規程や重要事項等の法務については、サービス提供する事業環境に合わせて、各自の介護事業所が責任を持って作成してください。(当サイト上にも、利用規約として免責事項や禁止事項等を定めています)
参考情報①介護報酬改定における改定事項(*)
厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
参考情報②サービス種別ごとの運営に関する基準(*)
厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
厚生労働省「指定介護老人保健施設の人員、設備及び運営に関する基準」
厚生労働省「指定介護医療院の人員、設備及び運営に関する基準」
このコラムでは地域密着型サービスの運営規程や重要事項を解説
地域密着型サービスにフォーカスして、運営規程や重要事項の情報をチェックしていきましょう。
サービス地域
・全国
・大阪市(一部、ケース事例として紹介)
サービス種別
・地域密着型サービス
事前の留意点
・地域密着型サービスを管轄する行政は、主に区市町村になりますが、一部地域では業務委託や事務組合等のケースがありますので、地域ごとの指導・監督者へ確認してください。
指針となる厚生労働省の省令や基準は
介護事業所の運営規程等の情報については、厚生労働省が定めるサービス種別ごとの運営基準がベースとなります。
厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
サービス種別
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・認知症対応型共同生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
参考情報
厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
(出典:厚生労働省ホームページより引用・編集)
近年の介護報酬改定における改定事項は
近年の社会情勢や事業環境を踏まえて、令和3年度から令和6年度にかけて、その内容や方法が改定されてきています。
近年の介護報酬改定における改定事項
「令和3年度介護報酬改定における改定事項」
感染症や災害の発生を踏まえた業務継続計画(BCP)の策定や、人権の尊重や人的事故・リスクに配慮した虐待防止などへの対応が必要となる。
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「令和6年度介護報酬改定における改定事項」
介護事業所の運営規程や重要事項等の情報は、事業所内での「書面掲示」に加えて、インターネット上での「電子掲示」が義務化された。
参考情報
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
(出典:厚生労働省ホームページより引用・編集)
サービス種別ごとの運営基準:ケース事例
地域密着型サービスの代表例として、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の運営規程や情報掲示をチェックしておきましょう。
ケース事例:定期巡回・随時対応型訪問介護看護
運営規程や情報掲示
・運営規程
・掲示
◆運営規程
第三条の二十九 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所ごとに、
次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(以下この章において「運営規程」という。)を定めておかなければならない。
一 事業の目的及び運営の方針
二 従業者の職種、員数及び職務の内容
三 営業日及び営業時間
四 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の内容及び利用料その他の費用の額
五 通常の事業の実施地域
六 緊急時等における対応方法
七 合鍵の管理方法及び紛失した場合の対処方法
八 虐待の防止のための措置に関する事項
九 その他運営に関する重要事項
◆掲示
第三条の三十二 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の見やすい場所に、運営規程の概要、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項(以下この条において単に「重要事項」という。)を掲示しなければならない。
2 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、重要事項を記載した書面を当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所に備え付け、かつ、これをいつでも関係者に自由に閲覧させることにより、前項の規定による掲示に代えることができる。
3 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、原則として、重要事項をウェブサイトに掲載しなければならない。
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このように定期巡回・随時対応型訪問介護看護の運営規程や情報掲示は、類似するサービスの訪問介護に近いのですが、サービスの時間や内容・利用料、合鍵の管理方法などは、特徴的なものとして追加されています。
参考情報
厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
(出典:厚生労働省ホームページより引用・編集)
地域密着型の運営規程や重要事項のひな形は
地域密着型サービスの運営規程や重要事項のひな形は、大阪市福祉局のホームページで、一部サービスの情報が公表されています。
大阪市福祉局「地域密着型サービス事業者の指定・変更・報告関係様式集」
◆運営規程や重要事項
参考資料【運営規程】
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護
参考資料【重要事項説明書】
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・地域密着型通所介護
・夜間対応型訪問介護
参考情報
大阪市福祉局「地域密着型サービス事業者の指定・変更・報告関係様式集」
(出典:大阪市福祉局ホームページより引用・編集)
地域密着型の運営規程や重要事項は
地域密着型サービスの運営規程や重要事項のひな形は、行政から公開されている記入例やモデル様式が少なく、既存の居宅サービス/施設サービスのひな形を参照して、サービスの基準や特徴となる部分を追加・変更していくなど、アレンジが必要となってきます。
運営規定や重要事項を定めていく方法
居宅サービス/施設サービスの運営規程や重要事項:ひな形を参照する
・東京都福祉局「介護サービス情報」
・大阪府福祉部「指定居宅サービス事業者 > 様式ライブラリー」
大阪府福祉部「介護保険施設(特養、老健、療養、医療院)事業者 > モデル様式ライブラリー」
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地域密着型サービスの基準や特徴となる部分となる部分を追加・変更する
例)定期巡回であれば、サービス内容や時間、合鍵の管理方法など
(出典:東京都福祉局ホームページ、大阪府福祉部ホームページより引用・編集)
タイプごとに運営規定などを定めるパターン
そのため、地域密着型サービスの運営規定や重要事項については、前述する居宅/施設サービスの情報を元に、次のようなサービス提供のタイプに分けて、運営規定や重要事項を定めていくのがおすすめです。
タイプごとの運営規定や重要事項
《訪問サービス》
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
→類似する訪問介護の運営規程や重要事項をベースに、サービスの基準や特徴となる部分(サービス内容や時間、合鍵の管理方法など)を追加・変更
《通所サービス》
・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護
→類似する通所介護の運営規程や重要事項をベースに、サービスの基準や特徴となる部分(サービス内容や時間・定員・地域など)を追加・変更
《入居(施設)サービス》
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・認知症対応型共同生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
→類似する特定施設や福祉施設の運営規程や重要事項をベースに、サービスの基準や特徴となる部分(共同生活やユニットごとのサービス内容や時間・定員・地域、協力する医療機関など)を追加・変更
《複合サービス》
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
→前述の訪問・通所・入居(施設)サービスの内容を組み合わせて、提供するサービスや事業環境に合わせて編集
※サービス提供が訪問/通所/宿泊と複合的になるため、運営面で規程する範囲やボリュームが大きくなる
地域密着型サービスの運営規定や重要事項の振り返り
このコラムでは、介護事業所の運営規程や重要事項の情報として、地域密着型サービスにフォーカスして、その規定やひな形などを取り上げました。
地域密着型サービスの運営規程や重要事項のひな形は、行政から公開されている記入例やモデル様式が少なく、既存の居宅サービス/施設サービスのひな形を参照して、サービス特徴となる部分を追加・変更していくなど、アレンジが必要となってきます。
そして地域密着型サービスは、そのサービス特徴に応じて、前述のようなサービス提供のタイプに分けて、運営規定や重要事項を定めていくのがおすすめです。
また最近ではAIによって書面や文言をチェックする機能も発達しているので、細かい法務面の情報をAIでチェックしてから、人的に見直すことも、かんたんに進める方法の1つです。
》》》次のコラム 3-8.2025年度「運営規程や重要事項の解説コラム」AIを活用した法務チェック【前篇】
◆介護事業所の運営規程や重要事項の解説コラム ラインナップ
3-1.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」イントロダクション
3-2.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」チェックするフローチャート
3-3.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」書面掲示は簡単に(神ワザ)
3-4.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」電子掲示は完結に(複合ワザ)前篇
3-5.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」電子掲示は完結に(複合ワザ)後篇
3-6.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」ひな型検証
3-7.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」地域密着型サービス
3-8.2025年度「運営規程や重要事項の解説コラム」AIを活用した法務チェック【前篇】
3-9.2025年度「運営規程や重要事項の解説コラム」AIを活用した法務チェック【後篇】
「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランでは、地域密着型サービスを含めて、運営規程や重要事項のひな型やケース事例も追加していく予定です。(会員向け)
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参考情報(出典)
介護事業所の運営規程や重要事項等の情報については、厚生労働省や管轄行政の発表資料をご覧ください。
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人保健施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護医療院の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・東京都福祉局「東京都介護サービス情報」
・東京都福祉局「事業者へのお知らせ(通知文書等)」
・大阪府福祉部「指定居宅サービス事業者 > 様式ライブラリー」
・大阪府福祉部「介護保険施設(特養、老健、療養、医療院)事業者 > モデル様式ライブラリー」
・大阪市福祉局「地域密着型サービス事業者の指定・変更・報告関係様式集」