埼玉県川口市のケアマネ事件で注目
介護事業所に求められるカスタマーハラスメント対策とは
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2026年義務化の介護カスハラ対応(第3弾)
現在、介護業界では2026年度(令和8年度)からの「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化」に向けて、具体的な体制整備が急務となっています。特に、2026年6月に発生したケアマネ事件を契機に、管轄行政と介護事業所の動きは加速しています。
このコラム記事では、最新の行政動向(介護保険最新情報)を踏まえ、介護事業所が実務として対応すべき「運営規定」「重要事項説明書」の具体的な記載例(テンプレート)、そして法改正による「電子掲示」への移行ポイントまで、介護事業所の視点で解説します。
【この記事のポイント】
- 埼玉県川口市で起きたケアマネジャー殺害事件と行政の最新動向
- 厚生労働省(Vol.1508)が求める在宅介護従事者の安全確保
- 令和8年度(2026年度)カスハラ対応義務化の具体的内容
- そのまま使える!運営規定・重要事項説明書の記載例(案)
- 書面掲示から移行必須!「電子掲示義務化」への対応方法

1. 埼玉県川口市のケアマネ事件とその衝撃
2026年6月1日、埼玉県川口市において、利用者宅を訪問中だった介護支援専門員(ケアマネジャー)が殺害されるという、極めて凄惨な事件が発生しました。
ケアマネジャーをはじめとする在宅介護従事者は、密室となりやすい利用者の自宅に単独で訪問する機会が多く、かねてよりハラスメントや孤立無援状態での安全リスクが指摘されていました。今回の事件は、介護現場における従事者の安全確保が、もはや一事業所の努力義務ではなく、業界全体で最優先に取り組むべき喫緊の課題であることを決定づけました。
2. 厚生労働省:介護保険最新情報での発出
この重大な事態を受け、厚生労働省および埼玉県は即座に動き出し、現在実施している安全対策の見直しや注意喚起を行っています。
厚生労働省は事件直後の2026年6月4日付で、介護保険最新情報Vol.1508「介護支援専門員等の在宅介護従事者の安全確保の徹底について」を発出し、全国の自治体や介護関係団体に対して速やかな周知と安全確保の徹底を求めました。
行政が推奨するハラスメント対策
厚生労働省は、利用者やその家族からのハラスメント対策として、以下のマニュアルや手引きを公式ホームページで公開し、現場での即時活用を推奨しています。

出典:厚生労働省ホームページ・発表資料より引用・編集
【参考情報源・行政の動き】
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1508:
介護支援専門員等の在宅介護従事者の安全確保の徹底について(PDF)- 厚生労働省 特設ページ:
介護現場におけるハラスメント対策(HP)
※「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」「管理者・職員向け研修用の手引き」「ハラスメント事例集」がダウンロード可能です。
3. 2026年度から義務化されるカスハラ対応とは
2026年度(令和8年度)の介護報酬改定および運営基準の改正により、すべての介護事業所に対して「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化」が課せられます。介護事業所が必ず講じなければならない措置は以下の3点です。
- 相談窓口の設置と担当者の配置: 職員がハラスメントを受けた(または予兆がある)際に、速やかに報告・相談できる体制を社内に構築する。
- 対応マニュアルの策定と職員研修の実施: 何がカスハラに該当するかの基準を明確にし、いざという時の初動対応(複数人での訪問切り替え、警察への連絡基準など)を全職員に周知する。
- 組織的対応と事後ケア: 実際の被害が発生した場合、職員個人に対応を押し付けず、事業所(組織)として毅然とした対応(警告書の送付、契約解除など)を行い、メンタルケア等の事後フォローを徹底する。
4. 実務直結!具体的な記載事項(案)
義務化をクリアするためには、事業所のルールブックである「運営規定」や、契約時に利用者・家族に説明する「重要事項説明書」への明記が必要です。以下に、そのまま実務に活用できる記載例(テンプレート案)をまとめました。
| 項目 | 運営規定・重要事項説明書の記載内容(案) |
|---|---|
| ハラスメントの禁止 | 利用者およびその家族等は、介護職員等に対し、その尊厳を傷つける行為、暴言・暴力、セクシャルハラスメント、その他適切なサービス提供を妨げるカスタマーハラスメントを行ってはならないものとします。 |
| 事業所の措置・対応 | 万が一、前項に該当する行為が認められた場合、介護事業所は速やかに事実関係を調査し、行為者に対して文書等による警告を行います。また、職員の安全確保のために複数名での訪問体制への切り替えや、サービスの臨時停止措置を講じることがあります。 |
| 契約解除に関する事項 | 利用者またはその家族等によるカスタマーハラスメント行為が改善されず、信頼関係が著しく損なわれ、安全かつ適切なサービス提供が困難であると判断した場合は、介護事業所は本契約を解除することができるものとします。 |
5. 運営規定・重要事項は「電子掲示」へ移行
今回のカスハラ対策強化と同時に、介護事業所が必ず押さえておくべきなのが「書面掲示規制の見直し(電子掲示の義務化)」です。
これまで運営規定の概要や料金表、重要事項などは、事業所内の壁やファイルなど「事業所内の見やすい場所への書面掲示」が義務付けられていました。しかし、法改正により、今後はインターネット上(法人のホームページ、または『介護サービス情報公表システム』)での電子掲示が強く求められるようになります。
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電子掲示化がもたらすカスハラ抑止効果
電子掲示への移行は単なる手続きの変更ではありません。利用者やその家族が、契約前や自宅にいる時でも「事業所のハラスメントに対する厳格な方針」をいつでも閲覧できるようになります。事業所としての姿勢をウェブ上でオープンに公表することは、悪質なクレーマーやハラスメント行為を未然に防ぐ「強力な抑止力」として機能します。
6. まとめ:職員の命を守るため、今すぐ介護事業所がすべきこと
埼玉県川口市でのケアマネジャー殺害事件という極めて重い教訓を経て、行政のハラスメント対策と介護事業所への支援は一段と強まっています。2026年度(令和8年度)からの義務化は、単なる書類上の手続きではなく、大切な職員の命と心を守るための法務です。
まだ対策に着手していない事業所の経営者・管理者の皆様は、厚生労働省の「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」を参考に、まずは「運営規定・重要事項説明書の改定」と「ホームページ等での電子掲示の準備」から速やかに進めていきましょう。
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《《《前のコラム 3‑20.2026年度から義務化「カスハラ対応」|運営規定や重要事項の実務ポイント
・本コラムは、2026年度に施行予定の情報をもとに構成しています。今後の正式な省令・通知については、必ず最新の行政資料をご確認ください。
・運営規程や重要事項等の法務については、サービス提供する事業環境に合わせて、各自の介護事業所が責任を持って作成してください。(当サイト上にも、利用規約として免責事項や禁止事項等を定めています)
・これらの情報を更新する場合は、運営規程や重要事項を掲示する書面を再作成して、事業所内での「書面掲示」とインターネットでの「電子掲示」をする必要があります。(同様にサービス契約書も再作成して、利用者・家族、関係する専門職にも案内や説明も必要です)
参考情報(出典)
介護事業所の運営規程や重要事項等の情報については、厚生労働省や管轄行政の発表資料をご覧ください。
厚生労働省 介護保険最新情報「介護支援専門員等の在宅介護従事者の安全確保の徹底について」
厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」
厚生労働省「令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について」
厚生労働省「カスタマーハラスメント対策リーフレット」
厚生労働省「ハラスメント対策・女性活躍推進 に関する改正ポイントのご案内」
厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」
厚生労働省「管理者向け研修のための手引き」
厚生労働省「職員向け研修のための手引き」
厚生労働省「介護現場におけるハラスメント事例集」
