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2-27.【2026年最新】介護情報基盤とは?介護事業所が今から進めるべき「3つの準備」

介護事業所が今すぐ進めるべき「3つの準備」を徹底解説
2026年から本格スタートするデータ連携の仕組みを分かりやすく

介護情報基盤について サムネイル《《《前のコラム 2-25.国保中央会より「介護情報基盤ポータルサイト」の公開
《《《前のコラム 2-26.厚生労働省より「介護情報基盤」の仕組みと運用準備を案内
はじめに:2026年、医療と介護の壁がなくなる「介護情報基盤」の本運用へ
日本の介護業界はいま、制度・インフラの面で歴史的な大転換期を迎えています。国が進める「医療DX令和ビジョン2030」のロードマップに沿って、医療・介護の情報を一元的に共有する巨大なネットワーク「介護情報基盤」の構築・本運用が着実に進められているからです。

これまで、医療機関と介護事業所の間の情報連携は、限定的かつ紙やFAXなどアナログ的なものでした。
「新規の利用者様が過去にどのような大病を患い、どのような薬を処方されていたのか」を知るためには、病院のソーシャルワーカーから送られてくる紙のサマリーを読み解くか、主治医意見書が届くのを待つしかありませんでした。
この情報のタイムラグや「見えない壁」は、介護現場における迅速かつ的確なケアプラン策定の大きな障害となっていました。

コラムでは「介護情報基盤」の仕組みと運用準備をアナウンス
・介護情報基盤の仕組み
・介護事業所のメリット
・導入運用に向けた「3つの準備」
・介護現場から出やすいQ&A
・介護情報基盤のまとめ

この課題を根本から解決するのが「介護情報基盤」です。
このコラムでは、介護情報基盤の具体的な仕組み、現場にもたらされる劇的なメリット、そして介護事業所が今すぐ進めておくべき3つの準備について徹底解説します。
「介護情報基盤の名前は聞いたことがあるけれど、結局ウチの現場は何をすればいいの?」という疑問を、この場で解消しましょう。

介護情報基盤でのデータ連携の仕組みと全体像

介護情報基盤とは、一言で言えば「全国の医療機関(病院・診療所・薬局)が持つ医療情報と、介護事業所が持つ介護情報を、オンライン上で安全に共有・閲覧できるようにするための国指定の共通インフラ」です。
政府が推進するオンライン資格確認のネットワークやマイナポータル等のインフラをベースに構築されています。

全国医療情報プラットフォームの全体像(イメージ)全国医療情報プラットフォームの全体像(イメージ)
出典:厚生労働省の発表資料より引用・編集

この基盤が本格的に運用されると、利用者様の同意のもと、以下のような情報がインターネット上でリアルタイム(またはそれに近いスピード)で共有されるようになります。

介護事業所側が閲覧できる医療情報(主な例)

  • 特定健診・過去の検診結果: 数値の推移から、生活習慣病などのリスクを事前に把握可能。
  • 薬剤処方情報: 「現在どのような薬を飲んでいるか」に加え、過去の処方履歴や重複投薬、禁忌薬のチェックが可能。
  • 診療情報・手術歴: 病院で受けた最新の診断名や、過去の大きな手術歴、アレルギー情報など。

医療機関や他事業所側が閲覧できる介護情報(主な例)

  • 要介護認定情報: 要介護度、認定の有効期間、主治医意見書の一部のデータなど。
  • 介護サービス利用履歴: 現在、どのような種類の介護サービスを、どの程度利用しているか。
  • ケアプラン・サービス提供実績: 居宅サービス計画書(ケアプラン)の概要や、LIFEに提出されている一部の評価データなど。

これにより、医療と介護がシームレス(地続き)に繋がり、一人の高齢者を地域全体で支える「地域包括ケアシステム」のデジタル版が完成することになります。

介護情報基盤が介護事業所にもたらすメリット

このシステムへの対応は、単なる「国の方針に伴う義務作業」ではありません。現場の業務効率化やサービスの質向上において、極めて強力なメリットを事業所にもたらします。4つの切り口からその効果を表にまとめました。

メリット 具体的な効果と現場の変化
① 初期収集の迅速化 新規の利用者様を受け入れる際、ご家族の記憶に頼った曖昧な既往歴や、お薬手帳の紛失による確認遅れがなくなります。システム上で正確な医療データを閲覧できるため、初日からリスクの少ない安全なケア計画を立てられます。
② 医療事故・誤薬防止 複数の病院から類似した薬が処方されているケース(ポリファーマシー)や、飲み合わせの悪い薬を介護スタッフやケアマネジャーがいち早く発見できます。医療機関や薬局の薬剤師と連携し、減薬や処方調整の提案がスムーズになります。
③ 緊急時の対応力向上 夜勤帯などに施設の入所者が急変した場合、普段の病状や内服薬、アレルギーの情報をシステムから即座に抽出・印刷して救急隊員や搬送先病院に手渡すことができます。これにより、病院側でも迅速かつ適切な救命処置が行われます。
④ 事務負担の削減 病院の退院支援看護師やMSW(メディカルソーシャルワーカー)との間で、何度も電話やFAXで行っていた「現在のADL状況」や「医療的ケアの必要性」に関するやり取りがデータ共有によって大幅に削減されます。

今から取り組む!介護情報基盤の運用に向けた「3つの準備」

介護情報基盤のネットワークに参加し、これらのメリットをフルに享受するためには、事業所側でも環境整備を進めなければなりません。今すぐ進めるべき3つの準備を解説します。

準備①:オンライン資格確認(マイナ受付)等に対応した環境の整備

介護情報基盤にアクセスするための大前提として、医療機関や薬局で既に導入されている「オンライン資格確認」と同様のネットワーク(社会保険診療報酬支払基金・国保中央会が提供する安全な回線)に接続できる環境が必要になります。

具体的には、事業所に安全なインターネット回線(光回線等)を導入し、セキュリティ要件を満たしたルーターの設定を行う必要があります。また、利用者が持参したマイナンバーカードを読み取るための「カードリーダー」の設置や窓口の動線設計も含まれます。

準備②:自社の介護ソフトが「介護情報基盤」に対応しているか確認

せっかく回線を繋いでも、医療や介護のデータを閲覧・送信するたびに、介護ソフトとは全く別の特殊なWEBブラウザや専用システムを立ち上げてログインし直すような運用では、かえって現場の業務が増えてしまいます。

理想的なのは、現在使用している介護ソフトの画面上で、ボタン一つで介護情報基盤からお薬情報や既往歴を引っ張ってこられる(API連携できる)状態です。ソフトメーカー各社は順次、介護情報基盤対応のアップデートやオプション機能をリリースしています。自社のソフトがいつ、どのような形で対応するのか、追加費用はいくらかかるのかを、システム会社に確認しましょう。

準備③:職員への研修と「個人情報保護・同意取得」の運用ルール作り

システムが整っても、現場のケアマネジャーや介護職が「どうやってデータを閲覧するのか」を知らなければ宝の持ち腐れです。また、医療情報の閲覧には、必ず原則として「利用者本人(またはご家族)の同意」が必要になります。

契約時やインテーク時に、マイナンバーカードを用いた情報閲覧の同意をスムーズに取得するための「説明マニュアル」や「同意書の様式」をあらかじめ整備し、職員にロープレを交えて研修しておくことが、運用開始直後のトラブルを防ぐ鍵となります。

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現場から出やすい懸念点・不安などQ&A

新しい巨大なインフラが導入される際、現場のスタッフや経営層からは期待だけでなく、多くの不安や懸念の声が上がります。特によくある質問とその対策をまとめました。

Q1. セキュリティや個人情報の漏洩リスクは大丈夫?

【回答】極めて強固な専用ネットワークと二要素認証で守られています。
介護情報基盤は、一般的なインターネットとは隔離された、厚生労働省・ガイドライン準拠の非常に安全な専用ネットワークを使用します。さらに、職員個人のID・パスワードだけでなく、「証明書」や「マイナンバーカード」を組み合わせた多層的な認証(二要素認証)が行われるため、外部からの不正アクセスやなりすましによる漏洩リスクは最小限に抑えられています。

Q2. マイナンバーカードを預かったり管理したりする必要があるの?

【回答】原則として、事業所が利用者のカードを預かって管理することは推奨されません。
施設入所の場合など特段の事情があるケースを除き、基本的には「利用者が持参したカードを、その場で端末にかざして同意を入力してもらう」運用となります。どうしてもカードを預かる必要がある長期入所施設などの場合は、法人の「特定個人情報取扱規程」を改定し、鍵付きの保管庫での管理や、持ち出し記録の作成など、厳格なセキュリティ運用を敷く必要があります。

Q3. 導入・回収にかかるコストが心配。補助金はあるの?

【回答】国や自治体による「介護DX関連の補助金」をフル活用してください。
国は医療・介護DXを急速に進めるため、オンライン資格確認の導入や介護情報基盤への対応にかかる機器購入費、ネットワーク工事費、介護ソフトの改修費などに対して、各種の補助金(IT導入補助金や地域医療介護総合確保基金など)を用意しています。これらを活用すれば、介護事業所の負担を大幅に抑えて、業務環境を整えることが可能です。

まとめ:データ連携の波に乗り、地域で「選ばれる事業所」へ

介護情報基盤の運用は、国が進める介護保険制度の適正化や業務効率化の「究極のインフラ」です。最初は機器の設定や運用の変更に戸惑うかもしれませんが、一度この基盤を使いこなせるようになれば、医療機関との連携スピードは圧倒的に速くなり、根拠に基づいた質の高いケアを提供できるようになります。

今後は、病院の退院カンファレンスやケアマネジャーからの新規紹介において、「介護情報基盤を通じて、スムーズにお薬情報や既往歴を確認して即座に対応できる事業所」と、「いまだに紙の書類を郵送やFAXでやり取りしなければ動けない事業所」との間で、明確な格差が生まれることになります。つまり、このインフラに対応することは、これからの時代を生き抜く介護事業所にとっての「必須の経営戦略」なのです。

出典:参考情報

・厚生労働省「介護情報基盤について」
・厚生労働省「マイナ保険証に関する各種周知広報物」
・国民健康保険中央会「介護情報基盤ポータル」
・国民健康保険中央会「介護情報基盤 各種資料」
・国民健康保険中央会「介護保険資格確認等WEBサービス」
・国民健康保険中央会「介護保険資格確認等WEBサービス 操作マニュアル」
・国民健康保険中央会「マイナ資格確認アプリ 利用申請手順書」