2025年度対応|介護サービス事業所が押さえるべき
運営規程と併せて掲載すべき重要事項&追加対応ポイント

《《《前のコラム2-1. 『2025年度より義務化。介護事業所の運営規定等のWEB掲載』
介護保険制度の改定に伴い、介護サービス事業所では従来の「運営規程」に加えて、社会情勢や制度要請を踏まえた 重要事項の記載・掲載対応 が求められています。
このコラムでは、各サービス種別ごとに実務上欠かせない追加事項を整理し、制度背景・ポイント・掲載時の注意点をわかりやすく解説します。
1.重要事項として押さえるべき共通項目
運営規程に追加で掲載すべき情報は、利用者の安全確保とサービス品質の向上に直結するものです。以下に代表的な項目を整理しました。
① 業務継続計画(BCP)
業務継続計画(Business Continuity Plan/BCP) は、災害や感染症等の非常事態でもサービスを継続するための計画です。介護サービス事業所は、各種緊急時において重要な業務と対応手順を整理・文書化しておく必要があります。
BCPは 災害時・感染症拡大時の対応力を示す重要事項 であり、掲示・公表対象とすることで利用者・家族の安心につながります。
厚生労働省および東京都福祉局のホームページにも、BCPのガイドラインや作成支援の情報が掲載されています。
厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」
東京都福祉局「業務継続計画(BCP)策定のための支援動画」
② 衛生管理(感染症予防)
感染症対策は、介護現場で最も重要性が高い項目です。介護保険制度の改定後は、職員・利用者双方の感染予防に関する方針や対策基準を運営規程に盛り込み、定期的な研修や訓練の実施計画も記載します。
また、感染症対策の指針や手順・教育計画を重要事項として公表することが求められています。
厚生労働省や東京都のホームページにも、感染症予防に関するマニュアルやガイドブックなどの情報が掲載されていますので、詳しくはこちらをご覧ください。
厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き」
東京都保険医療局「高齢者施設・障害者施設向け 感染症対策ガイドブック」
③ ハラスメント対策
介護現場におけるハラスメント防止は、職員同士・利用者間・職員と利用者間の安全・信頼を維持するための重要な対応です。
事業所としての基本方針・相談窓口・対応フロー・研修計画を運営規程に組み込み、重要事項として公開・説明できるよう整備しましょう。
厚生労働省と東京都福祉局のホームページにも、ハラスメント対策の取組や事例、注意事項と重要事項の記載例がなどが記載されています。
厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」
東京都福祉局「注意事項」
東京都福祉局「重要事項説明書の記載例」
④ 高齢者虐待防止措置
介護保険制度では、高齢者虐待防止措置の強化が義務化されています。委員会開催・防止指針整備・研修実施・担当者設置等は、運営規程に盛り込み、利用者や家族にも分かる形で公表することが大切です。
関連する法例や防止の取り組み
「高齢者虐待防止法」により、直接的に高齢者の虐待を禁ずることに加えて、虐待を発見した場合に自治体へ通報することや。通報を受けた自治体の対応等も定めてられています。
またこの法令は、「高齢者」だけでなく「障がい者」にも定められています。
厚生労働省「高齢者虐待防止」
東京都福祉局「高齢者虐待防止」
介護保険制度の改定を受けて、これら虐待防止に対する取り組みをより強化するため、介護事業所に対してもこれらの情報を追加することが定めています。
サービス種別ごとの対応例(代表例)
介護サービスは種別ごとに運営上の留意点や具体的対応が異なります。自治体によっては運営規程のひな形を示している場合もありますが、代表的な例として以下の通りです。
◇ 訪問介護の重要事項例
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営業エリア・訪問スケジュール管理の方針
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利用者宅での安全確保ルール
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事故・緊急時対応フロー
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サービス提供責任者の役割・職務範囲
これらは、訪問介護特有の運営上の重要情報として整理し、運営規程や重要事項に記載します。
◇ 通所介護(デイサービス)の重要事項例
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送迎時の安全管理
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施設内での健康チェック体制
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リスク発生時の対応・記録方法
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利用者へのサービス提供方針と利用料の説明
通所介護は施設内運営が中心になるため、安全管理・健康管理・サービス方針が明確に示せるよう運営規程へ反映します。
◇ 短期入所生活介護(ショートステイ)の重要事項例
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施設における緊急対応計画
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利用者の受け入れ・送迎体制
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介護記録・引継ぎルール
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職員配置基準・研修体制
ショートステイは短期滞在型であるため、滞在中の安全管理・家族連絡体制なども運営規程に含めると良いでしょう。
3.運営規程・重要事項の公表方法
事業所がこれら項目を整理した後、運営規程や重要事項としてホームページ・公表システム等で公開できる形に整備しましょう。
方法は主に以下の2つです。
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法人ホームページ内での専用ページ掲載
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都道府県等が運営する 介護サービス情報公表システム へのアップロード
介護保険制度に基づく情報公開は、利用者・家族・ケアマネジャーが事業所を選ぶ際の判断材料にもなります。
4.実務上の注意点
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地域の条例や指針に基づく ローカルルール の確認
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変更・追加があった場合の 掲載・通知フロー を整備
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研修・説明責任が果たせるよう 職員教育計画 ・マニュアル化
これらの対応は、運営指導・実地指導 の際にも確認される項目ですので、日常業務としてルーティン化しておきましょう。
まとめ
介護事業所の運営規程や重要事項は、従来の基準に加えて社会状況・制度ニーズを踏まえた追加情報を整備することが必須になっています。
特にBCP・感染症対策・ハラスメント防止・虐待防止措置は、利用者の安全・職員の安心に関わる重要事項として整理し、制度対応と信頼構築につなげましょう。
【最新情報】詳しくは、こちらのシリーズコラムでも解説しています。
2025年最新版「運営規程や重要事項の解説コラム」イントロダクション

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◆「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランは
重要事項のチェックや見本例、紙と電子を組み合わせた掲示方法など解説しています。
■出典(参考情報など)
東京都福祉局「訪問介護のケース例」
東京都福祉局「通所介護のケース例」
東京都福祉局「短期入所生活介護のケース例」
厚生労働省「高齢者虐待防止」
東京都福祉局「高齢者虐待防止」
厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」
東京都福祉局「注意事項」
東京都福祉局「重要事項説明書の記載例」
厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」
東京都福祉局「業務継続計画(BCP)策定のための支援動画」
厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き」
東京都保険医療局「高齢者施設・障害者施設向け 感染症対策ガイドブック」
東京都福祉局「東京都介護サービス情報 事業者の皆様へ」
