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3-9.「運営規程や重要事項の解説コラム」AIを活用した法務チェック【後篇】 

むずかしい運営規程や重要事項を、わかりやすく解説するコラム9

むずかしい運営規程の法務は、かんたんにAIでチェック【後篇】
《介護事業所の運営規程や重要事項向け》

AIによる法務チェック・レビュー コラム サムネイル

◆このコラムでは、AIを活用した法務チェックやケース事例を解説【後篇】
・法務チェックや書面作成に強いAIは
・介護事業所の運営規程や重要事項向けの法務チェックは
・東京都のひな形(記入例)を使った、法務チェックの事例は
-指針となる厚生労働省の省令や基準:訪問介護
-東京都の運営規程のひな形(記入例):訪問介護
・ChatGPTが回答した、法務チェックやレビューの結果は
・AIを活用すれば、便利になるケース事例やサービス種別は
・AIを活用した法務チェックは、あくまで参考程度
【最終的には介護事業所で責任を持って】

《《《前のコラム 3-8.「運営規程や重要事項の解説コラム」AIを活用した法務チェック【前篇】 
このコラムでは引き続き、東京都のひな形(記入例)を使って、ChatGPTによる法務チェック・レビューのケース事例を見ていきましょう。

ChatGPTが回答した、法務チェックやレビューの結果は

こちらがChatGPTによる、厚生労働省が定める運営基準に沿って、東京都のひな形(事例集)を法務チェックした結果となります。
ChatGPTが回答したテキストを見ると、指針に沿って掲載されている事項には、概ね良いと評価されている一方で、東京都のひな形(記入例)が未掲載である事項には、追記した方が良いと改善点が挙げられています。
・業務継続計画(BCP)
・衛生・感染症対策
・ハラスメント防止
・掲示義務
・個人情報の同意取得方法
東京都のひな形(記入例)は、令和5年10月時点のやや古い情報であるため、令和6年度の改定を踏まえて、追加・変更された事項が指摘された結果となりました。
ChatGPTが回答した法務チェックやレビューChatGPTが回答した法務チェックのポイントと変更提案
【法務チェックのポイントと変更点】
1. 【運営規程の記載項目の網羅性】
厚労省基準:第二十九条にて、以下の8項目が求められています。
目的・方針
職種、員数、職務内容
営業日・時間
サービス内容と料金
実施地域
緊急時対応
虐待防止措置
その他重要事項
🔎 チェック結果:
→ 全体的に概ね記載されていますが、一部の項目で補足・明確化が必要です。
✅ 法務チェックのポイントと変更提案
1. 【業務継続計画の記載の欠如】(基準:第三十条の二)
現状:災害や感染症に対する「業務継続計画」の策定、研修、見直しに関する記述がありません。
対応案:以下のような条項の追加を推奨します。
「当事業所は、感染症の発生や災害時においてもサービスを継続的に提供できるよう、業務継続計画(BCP)を策定し、職員への周知、訓練、定期的な見直しを実施する。」
2. 【衛生管理・感染症対策の不備】(基準:第三十一条)
現状:衛生管理、感染症対策についての明記がありません。
対応案:衛生管理についての方針(職員の健康管理、備品の消毒など)、感染症対策委員会、指針整備、定期研修の実施の条項を設けることが必要です。
「当事業所では、感染症の予防及びまん延防止のため、委員会の開催、指針の整備及び職員研修を年2回実施する。」
3. 【ハラスメント防止措置の欠如】(基準:第三十条第4項)
現状:職場におけるハラスメント(セクハラ、パワハラ等)防止についての規定がありません。
対応案:以下の一文を追記することを推奨します。
「従業者の就業環境を守るため、ハラスメントの防止に関する方針を明確にし、必要な研修や相談窓口を設置する。」
4. 【通院等乗降介助の提供方法に関する補足】(基準との整合性)
現状:「通院等乗降介助」が括弧で途中になっており、提供の詳細が不明瞭です。
対応案:サービス提供時間帯、利用条件、必要な同意の取得方法を明確にしてください。
5. 【掲示義務の未記載】(基準:第三十二条)
現状:運営規程の概要や重要事項の掲示義務についての言及がありません。
対応案:
「当事業所では、運営規程の概要、訪問介護員の勤務体制、その他利用者の選択に資する重要事項を事業所内に掲示し、関係者が常時閲覧できるようにする。」
6. 【個人情報の文書同意に関する補強】(基準:第三十三条第3項)
現状:個人情報の文書同意取得についての記述がありません。
対応案:「サービス担当者会議等で利用者・家族の個人情報を使用する際には、事前に書面にて文書同意を得る。」
7. 【苦情対応・事故対応の保存期間】(基準に適合)
→ 保存期間2年間は基準通りであり、適正です。
🔎 追加的な言い回し・表現の明確化
「○名以上」や「○○円」など記載が未確定な箇所は、正式な数字に更新する必要があります。
料金表や「その他(   )」などの記載には、可能な限り具体例や範囲を記すことで利用者への説明責任を果たすことになります。


ChatGPTが回答した結論まとめ

さらにChatGPTによる法務チェックの終盤には、結論のまとめとなる文章となっています。
ここでも概ねの運営規程は満たしているものの、必要な重要事項が未掲載である点に言及しており、これらの点を追記・明文化するアドバイスで帰結となりました。
ChatGPTが回答した結論まとめ
✅ 結論
現在の運営規程は、厚生労働省の定める基本的な構造は満たしているものの、以下の重要項目が欠落しています:
・業務継続計画(BCP)
・衛生・感染症対策
・ハラスメント防止
・掲示義務
・個人情報の同意取得方法
これらの点を追記・明文化することで、制度改正後の基準にも適合した信頼性の高い運営規程となります。

このことから、ChatGPTによる法務チェック・レビューは、かなり精度が高い回答結果になり、具体的な追加・変更点まで、例示とともにアドバイスしてくれるものになりました。(介護業界の法務に詳しい編集部スタッフでも、このチェックや回答・アドバイスは、まさしく合致すると判断できるレベル)


◆AIを活用すれば、便利になるケース事例やサービス種別は

この訪問介護のケース事例のように、ChatGPTでの法務チェック・レビューは、介護事業所の運営規定や重要事項の掲載事項が、指針となる規程に沿ったものになっているか、客観的に評価して、その改善点を挙げる便利なツールと言えます。
東京都のひな形(記入例)のように、標準タイプとして参照されることが多いものの、作成時点が令和5年10月時点とやや古い場合には、最新の運営基準を踏まえて、追加・変更すべき項目がないか、チェックできるものになります。
また介護業界では、地域密着型サービスの運営規定や重要事項のように、行政から公開されている記入例やモデル様式が少なく、既存の情報やひな形を参照して、新たな法務書面を編集していくなども、AIが得意とする部分になります。
そのため現時点で、介護事業所の運営規定や重要事項向けには、次のようなケース事例やサービス種別で、AIを活用した法務チェック・レビューが期待できる可能性があります。
AIによる法務チェック・レビューが期待できるケース事例やサービス種別
AIによる法務チェック・レビューが期待できるケース事例やサービス種別

ケース事例
・標準的な居宅サービスの運営規程
:作成時点が令和6年4月時点よりも古いもの
→最新の運営基準を踏まえた、記載事項に未対応の可能性あり
サービス種別
・地域密着型サービスの運営規定や重要事項
:小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護
→行政から公開されている記入例やモデル様式が少ない

その一方で、AIによる法務チェック・レビューが、なかなか難しいケース事例も、挙がっています。
・保険外サービスを組み合わせた介護保険サービスの運営規程
:高齢者向けの配食、通院などの移動支援、家事代行など
→介護保険サービスと保険外サービスの区分を明確する必要があり
介護保険と保険外サービスと組み合わせて、新たな法務文書を作成するには、これまでの知識や事例を応用することが難しく、規程する事項が何パターンにも流動化する(=回答結果が乱れる)傾向があるようです。


AIを活用した法務チェックは、あくまで参考程度【最終的には介護事業所で責任を持って】

前述したように介護事業所の運営規定や重要事項は、近年の社会情勢や事業環境に応じて、その内容が見直しされており、運営基準にも追加・変更がされてきています。
そのため介護事業所を運営する法人では、これらの状況に合わせて、運営規程や重要事項の法務チェックをして必要な書面作成をしていく必要があります。
今回ご紹介したコラムのように、最近ではAIによる法務チェックや書面作成の機能も発達してきているので、むずかしい法務を、かんたんにAIでチェック・レビューするのも、かんたんに業務を進める方法の1つです。
ただしAIによるチェックやレビューはあくまで参考程度になり、最終的には介護保険サービスを提供する事業環境や、勘案すべき要件や事項を踏まえて、運営規定や重要事項を定める必要があります。(AIによって、誤った情報がそのまま引用される場合や、主旨や目的が違う結果になる場合もあります)
追記の留意点
・運営規程や重要事項等の法務については、サービス提供する事業環境に合わせて、各自の介護事業所が責任を持って作成してください。(当サイト上にも、利用規約として免責事項や禁止事項等を定めています)
なお、これらの情報を更新する場合は、運営規程や重要事項を掲示する書面を再作成して、事業所内での「書面掲示」とインターネットでの「電子掲示」をする必要があります。(同様にサービス契約書も再作成して、利用者・家族、関係する専門職にも案内や説明も必要です)
◆介護事業所の運営規程や重要事項の解説コラム ラインナップ
3-1.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」イントロダクション
3-2.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」チェックするフローチャート
3-3.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」書面掲示は簡単に(神ワザ)
3-4.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」電子掲示は完結に(複合ワザ)前篇
3-5.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」電子掲示は完結に(複合ワザ)後篇
3-6.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」ひな型検証
3-7.2025年版「運営規程や重要事項の解説コラム」地域密着型サービス
3-8.2025年度「運営規程や重要事項の解説コラム」AIを活用した法務チェック【前篇】
3-9.2025年度「運営規程や重要事項の解説コラム」AIを活用した法務チェック【後篇】

「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランでは、地域密着型サービスを含めて、運営規程や重要事項のひな型やケース事例も追加していく予定です。(会員向け)
》》》ひな形(事例集)の一括ダウンロードは会員コンテンツへ

重要事項サポートプラン
重要事項サポートプラン

また新宿の介護事業所向けには、重要事項のお試しサポートとして、30分で法務チェックして、変更点や参考事例をアドバイスするキャンペーンを行っています。
(新宿区の事業所向けに、7月末まで8~9事業所ほどを想定)

参考情報(出典)
介護事業所の運営規程や重要事項等の情報については、厚生労働省や管轄行政の発表資料をご覧ください。
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人保健施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護医療院の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・東京都福祉局「東京都介護サービス情報」