2025年最新|介護事業所の運営規定や重要事項をアップデート
厚生労働省の省令や基準に合わせて、ここを見直しすればOK
【東京都の居宅サービス:通所系サービス】
東京都のひな形(記入例)を引用している介護事業所は必見!
《《《前のコラム すぐ分かる!30分で法務チェック・レビュー『ヘルパーAI』vol.1【訪問系サービス】
介護事業所の運営規程や重要事項の情報は、書面掲示に加えて電子掲示が義務付けられ、社会情勢や事業環境に応じて、次のような事項が追加・更新されてきています。
例)自然災害や感染症への対策(BCP)、人権に配慮した虐待や拘束の防止、ハラスメント対策、インターネットでの電子掲示など
このコラムでは引き続き、行政が例示する運営規定の(ひな形)記入例を元に、最新版にアップデートするポイントや変更点を解説していきましょう。
すぐ分かる!30分で法務チェック・レニュー『ヘルパーAI』vol.2

🔍 チェック対象となる主な通所系サービス【東京都の居宅サービス:通所系サービス】
6.通所介護
7.通所リハビリテーション
8.短期入所生活介護
9.短期入所療養介護
◆このコラムでは、東京都が例示する運営規程をチェック
・ヘルパーAIによる法務チェック・レビューは
6.通所介護
7.通所リハビリテーション
8.短期入所生活介護
9.短期入所療養介護
・アップデートするポイントや変更点は
→記入例(ひな形)の最新版はダウンロードできます
AIによる法務チェック・レビューは
今回のコラムでも、東京都のひな形(記入例)を使って、AIを活用した法務チェック・レビューのケース事例を試してみましょう。
AIによる法務チェック・レビュー
・指針となる厚生労働省の省令や基準
・東京都の運営規程のひな形(記入例)
・法務チェック向けプロンプト(依頼する指示や命令文)
出典:厚生労働省、東京都福祉局ホームページより引用・編集
》》》ヘルパーAIが回答した、法務チェックやレビューの結果は
アップデートするポイントや変更点は
東京都のひな形(記入例)では、居宅サービス:訪問系サービスそれぞれについて法務チェック・レビューを行い、次のようなチェックのポイントと変更点が挙がりました。
【6.通所介護】⚠️追加で必要な改善点と法務チェック
ハラスメント防止
指摘事項:⛔ 未記載「セクハラ・パワハラ等の明確な禁止と防止措置」が義務です。
改善提案:職場において、業務上必要かつ相当な範囲を超える性的または優越的言動により、通所介護従事者の就業環境が害されることがないよう、ハラスメント防止に関する方針を明確にし、必要な措置を講じる。
業務継続計画(BCP)
指摘事項:⛔ 未記載 感染症や災害時にもサービス継続できる体制構築が必須。
改善提案:感染症や非常災害時に備え、業務継続計画(BCP)を策定し、従業者に周知し、定期的に訓練および見直しを行う。
感染症対策委員会・研修・指針
指摘事項:△ 衛生管理(第16条)はあるが、委員会や研修の明示なし
改善提案:感染症対策委員会をおおむね6ヶ月に1回以上開催し、指針を整備するとともに、感染症対策に関する研修・訓練を定期的に実施する。
掲示・公表義務
指摘事項:⛔ 未記載「運営規程の概要、勤務体制などを掲示・閲覧・Web掲載」の明記が必要。
改善提案:運営規程の概要、勤務体制その他の重要事項を、事業所内に掲示し、書面を備え付けて自由に閲覧できるようにし、可能な限りウェブサイトにも掲載する。
広告、利益供与の禁止
指摘事項:⛔ 未記載 誇大広告やケアマネ等に金品供与しない旨の記載が必須。
改善提案:虚偽または誇大な広告を行わず、また、居宅介護支援事業所の従業者等に対して、サービス誘導を目的とした金品その他財産上の利益を供与しない。
その他の記載項目
補足事項:従事者への認知症介護に係る研修や、事故や苦情に関する区市町村や国保連合会との協力もあった方が望ましい。
【6.通所介護】📝まとめ:重要な修正ポイント
修正項目 | 必要性 | 内容補足 |
---|---|---|
✅ ハラスメント防止 | 高 | 義務化されており、職員環境の整備に必須 |
✅ 業務継続計画(BCP) | 高 | 災害・感染症時の継続体制整備が不可欠 |
✅ 感染症委員会・研修・指針 | 高 | 感染症防止3点セットの整備 |
✅ 掲示・公表義務 | 中 | 利用者向け情報公開に関する義務 |
✅ 広告・利益供与の禁止 | 中 | サービスの中立性・公正性の担保 |
【7.通所リハビリテーション】⚠️追加で必要な改善点と法務チェック
ハラスメント防止
指摘事項:⛔ 未記載 パワハラ・セクハラ等、就業環境悪化を防ぐ方針が必須。
改善提案:職場において、性的又は優越的関係を背景とした言動等により職員の就業環境が害されることのないよう、ハラスメント防止方針を明確にし、必要な措置を講じる。
業務継続計画(BCP)
指摘事項:⛔ 未記載 感染症や災害時の対応計画の策定と研修の実施義務がある。
改善提案:当事業所は、感染症や非常災害が発生した際にもサービスを継続的に提供できるよう業務継続計画(BCP)を策定し、必要な訓練・研修・見直しを定期的に実施する。
感染症対策
指摘事項:△ 衛生や災害はあるが、委員会や指針に明確な記載なし
改善提案:感染症対策委員会を6ヶ月ごとに開催し、指針を整備し、感染症予防の研修・訓練を定期的に実施する。
掲示・公表義務
指摘事項:⛔ 未記載 規程や勤務体制などを掲示・閲覧・Web掲載する旨の明記が必要。
改善提案:運営規程、勤務体制その他重要事項については、事業所内に掲示し、関係者が閲覧可能な状態とするとともに、ウェブサイトにも掲載する。
利益供与の禁止
指摘事項:⛔ 未記載 居宅介護支援事業者への金品供与禁止等は必要。
改善提案:当事業所は、、居宅介護支援事業所等に対して利用誘導目的で金銭その他の財産上の利益供与を行わない。
その他の記載項目
補足事項:従事者への認知症介護に係る研修や、事故や苦情に関する区市町村や国保連合会との協力もあった方が望ましい。
【7.通所リハビリテーション】📝まとめ:優先的に追加すべき条項
項目 | 優先度 | 備考 |
---|---|---|
✅ ハラスメント防止 | 高 | 労務・職場環境対策として法令義務 |
✅ 業務継続計画(BCP) | 高 | 災害・感染症への備えとして法令義務 |
✅ 感染症対策委員会 | 高 | 指針+研修義務がセットで必要 |
✅ 掲示・公表義務 | 中 | 利用者向け情報提供体制の整備 |
✅ 利益供与の禁止 | 中 | 公正中立なサービス提供体制の確保 |
【8.短期入所生活介護】🔍 主な法務チェックと改善点
記録の整備
指摘事項:不足している記録の具体的な記載項目があるため、以下の追加を推奨:
・身体拘束の記録
・市町村への通知の記録
・苦情・事故の記録
改善提案:「身体的拘束の対応、時間、その際の心身の状況、及び緊急やむを得ない理由について記録するものとする」などの記載を追加。
業務継続計画(BCP)
指摘事項:業務継続計画(感染症・災害対策時の事業継続)についての記述がないため追加が必要。
改善提案:「当施設は、感染症及び非常災害発生時においてサービス提供を継続するための業務継続計画(BCP)を策定し、職員への周知、研修、定期的な見直しを行う。」
掲示義務
指摘事項:「運営規程の概要」や「重要事項」の掲示について、場所や方法(ウェブ掲載を含む)に関する記載がない。
改善提案:「運営規程の概要及び重要事項は事業所内に掲示し、閲覧用文書を備え付け、また原則としてウェブサイトにも掲載する。」
感染症対策
指摘事項:感染症に関する以下の記述が抜けているため、委員会設置、指針整備、研修の実施に関する記載を明記する必要あり。
改善提案:「感染症の予防及びまん延防止のため、感染症対策委員会をおおむね6ヶ月に1回以上開催し、その結果を職員に周知する。また、感染症予防指針の整備及び定期的な研修・訓練を実施する。」
地域交流・連携
指摘事項:「地域との連携・協力」についての明示がないため、地域住民や活動団体との連携に関する項目を設けることが望ましい。
委員会開催義務
指摘事項:「介護サービスの質の確保・職員負担軽減のための委員会」についての定期開催義務の記載がない。
改善提案:「介護サービスの質の向上及び職員の業務負担軽減を図るため、定期的に委員会を開催する。」
【8.短期入所生活介護】📝その他改善が望まれる点
項目 | 内容 | 対応状況 | 提案 |
---|---|---|---|
苦情処理 | 条文上の詳細な手続き(市町村・国保連合会対応含む) | 一部記載あり | 法令に沿って第36条第3〜6項まで反映推奨 |
身体拘束 | 記録と届出義務の記載 | 一部記載 | 記録保存義務(2年)を明記するとより適正 |
従業員研修・資質向上 | 特に認知症介護の研修義務 | 未記載 | 明記を推奨(第101条第3項) |
【9.短期入所療養介護】🔍 主な法務チェックと改善点
感染症対策
指摘事項:感染症予防に関する記述が簡素で、委員会・指針・研修についての明示がない。
改善提案:
・感染症対策の委員会を6ヶ月に1回以上開催
・指針の策定と職員への周知
・感染症に係る研修・訓練の実施
認知症研修・人材育成
指摘事項:従業者研修に関する項目はあるが、認知症介護基礎研修の記載がない。
改善提案:全従業員に対し「認知症介護基礎研修」の受講を促進する旨を明記。ハラスメント防止措置も併記が望ましい。
苦情処理と事故対応の記録
指摘事項:苦情・事故に関する記録の保存義務については触れているが、保存期間や内容の具体性が不足。
変更提案:苦情や事故発生時の記録は「完結日から2年間」保存。苦情対応に関する記録の内容(対応内容、改善措置等)を含めるよう明示。事故や苦情に関する区市町村や国保連合会との協力もあった方が望ましい。
衛生管理や設備管理の体制
指摘事項:清掃・消毒・換気等に関する一般記述はあるが、感染拡大防止の観点からの指針や記録整備が明確でない。
補足提案:「清掃・消毒の実施記録を整備し、感染症発生時の対応マニュアルに従って行動する」等の記載を追加すると適正。
【9.短期入所療養介護】📝まとめ:優先的に修正・補足すべき条項
チェック項目 | 状況 | 修正・補足すべき内容 |
---|---|---|
感染症対策委員会・指針・研修 | ❌ 未記載 | 3項目(委員会・指針・研修)の記載追加 |
認知症研修・人材育成 | ❌ 未記載 | 勤務体制の確保等に基づき明記 |
苦情・事故の記録保存期間 | △ 曖昧 | 「完結日から2年間」の明記 |
衛生管理・記録整備 | △ 一般的記載 | 感染症対応の視点での具体化を推奨 |
記入例(ひな形)の最新版はダウンロードできます
今回コラムの法務チェック・レビューを踏まえた、運営規程の最新版はこちら
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すぐ分かる!30分で法務チェック・レビュー『ヘルパーAI』アップデート版vol.2
6.通所介護
7.通所リハビリテーション
8.短期入所生活介護
9.短期入所療養介護
AIによる法務チェック・レビューの振り返り
このコラムでは、東京都が例示する運営規程(記入例)について、居宅サービス:通所系サービスについて取り上げました。
いずれのサービスについても更新するポイントで共通するのは、業務継続計画(BCP)、衛生管理(感染症対策)、ハラスメントや虐待の防止、情報の管理や掲示が挙がります。
またデイサービスなどの通所系サービスゆえに、業務に関わる研修や委員会も開催することが必要になり、地域との交流・連携など掲載事項も挙がっています。
【次回予告】
続くコラムでは福祉用具や特定施設についても、同様に最新版にアップデートするポイントや変更点を展開していく予定です。
》》》次のコラム すぐ分かる!30分で法務チェック・レニュー『ヘルパーAI』vol.3
《東京都 居宅サービス:福祉用具&特定施設》
10.福祉用具貸与
11.福祉用具販売
12.特定施設入居者生活介護
【事前の留意点】
・運営規程や重要事項等の情報は、令和6年度介護報酬改定における改定事項を受けて、全サービス共通して、インターネット上での電子掲示・公表することが求められます。(令和7年度より義務付け)
・運営規程や重要事項等の法務については、サービス提供する事業環境に合わせて、各自の介護事業所が責任を持って作成してください。(当サイト上にも、利用規約として免責事項や禁止事項等を定めています)
◆重要事項のお試しサポート
新宿の介護事業所向けには、重要事項のお試しサポートとして、30分で法務チェックして変更点や参考事例をアドバイスする、キャンペーンを行っています。
(新宿区の事業所向けに、7月末まで8~9事業所ほどを想定)
◆「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランは
介護事業所の運営規程や重要事項にフォーカスして、基本的な制度や規程の解説から、これまでの改定を踏まえた重要事項のチェック、「書面掲示」と「電子掲示」を組み合わせた掲示・公表方法など解説しています。
・URL:https://www.kaigokensaku.net/support-plan/contract_member/
参考情報(出典)
介護事業所の運営規程や重要事項等の情報については、厚生労働省や管轄行政の発表資料をご覧ください。
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人保健施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護医療院の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・東京都福祉局「東京都介護サービス情報」