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3‑6.2025年度版「運営規程や重要事項のひな型検証」東京都 vs 大阪府

難しい運営規程や重要事項のひな形を、かんたんに調べるには?

標準タイプの東京都と、完璧タイプの大阪府でもこんなに違う!
《介護事業所の運営規程や重要事項向け》

「運営規程や重要事項の解説コラム」サムネイル

 はじめに
《《《前のコラム 3‑5.2025年度版「電子掲示は完結に(複合ワザ)」デジタル活用術の手引き 後篇
令和6年度の介護報酬改定によって、介護事業所の運営規程や重要事項などの情報は、全サービスを通じてインターネット上での「電子掲示」が義務化されましたが、サービス種別ごとの運営基準についても、細かな改定がされました。
介護事業所は、これらの省令や基準に準拠する形で、各社が提供する介護サービスについて、その要件や内容を決めていくことになりますが、法令や契約に係る専門的な分野で、その書式や文言などの表現についても、細かく配慮する必要があります。
そこで本コラムでは、東京都の標準タイプと大阪府の完璧タイプのひな形(記入例)を比較して、各事業所に応じた作成ポイントを分かりやすく解説します。
事前の留意点
・運営規程や重要事項等の法務については、サービス提供する事業環境に合わせて、各事業所が責任を持って作成してください。(当サイト上にも、利用規約として免責事項や禁止事項等を定めています)

◆このコラムでは東京都と大阪府のひな型を検証
・指針となる厚生労働省の省令や基準は
・標準タイプの東京都のひな型:記入例は
・完璧タイプの大阪府のひな型:記入例は
・ひな型の比較検証:東京都 vs 大阪府
・例示されている雛形を使う際のポイント


このコラムでは東京都と大阪府のひな型を検証

代表的なサービス地域、サービス種別をピックアップして、運営規程や重要事項のひな形をご紹介します。
運営規程や重要事項のひな型
サービス地域
・東京都
・大阪府
サービス種別
・居宅サービス(居宅介護支援を含む)
・施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)
事前の留意点
・管轄行政は、都道府県の他に政令市・中核市などの市区町村、業務委託を受けている団体がありますので、地域ごとの指導・監督者へ確認してください


指針となる厚生労働省の省令や基準は

介護事業所の運営規程等の情報については、厚生労働省が定めるサービス種別ごとの運営基準がベースとなりますが、社会情勢や事業環境を踏まえて、令和3年度から令和6年度にかけて、その内容や方法が改定されてきています。
令和3年度の改定では、感染症や自然災害の発生を踏まえた業務継続計画(BCP)の策定や、人的事故やリスクに配慮した虐待防止や拘束廃止(ハラスメント対策)などへの対応が必要となっています。、
さらに令和6年度の改定ではそれらを踏まえた運営規程や重要事項の情報を、インターネット上で掲載・公表しなければならない義務となりました。
》》》詳しくはこちらをご覧ください。
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」

出典:厚生労働省ホームページより引用・編集

◆代表例として訪問介護のケース事例

介護サービスの代表例として訪問介護を例に挙げると、令和6年度の改定を受けて、細かな変更や追加がされています。(重要事項のウェブサイト掲載も追加されています)
ケース事例:訪問介護


標準タイプの東京都のひな形:記入例は

東京都の運営規程などの情報は、標準的なひな形や書式で示していることが多く、東京都のひな形が、全国的な記入例になっているケースもあります。(代表的なケースでは、有料老人ホームの重要事項説明書など)
そして東京都福祉局のホームページでは、事業所向けの介護サービス情報やお知らせを情報提供しており、このページ上に運営基準や運営規程の記入例が掲載されています。
ケース事例:東京都福祉局「介護サービス情報」「東京都介護サービス情報」
1 訪問介護(新規に指定を受けたい方へ)
・人員、設備及び運営に関する基準について
 ・・・(中略)・・・
・運営規程の例
・料金表の例
タブの右側へクリックすると、2訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護、3訪問看護・介護予防訪問看護のように、居宅サービスの種別ごとの情報が展開します。(施設サービスの情報掲載はなし)
》》》詳しくはこちらをご覧ください。

・東京都福祉局「東京都介護サービス情報」
・東京都福祉局「事業者へのお知らせ(通知文書等)」
出典:東京都福祉局ホームページより引用・編集

◆東京都の運営規程の記入例:訪問介護のケース

訪問介護の運営規程の記入例を見ると、必要な要件や内容が展開するもので、その書式や文言などの表現は必要最低限のものになっています。
東京都の運営規程の記入例:訪問介護の場合この記入例は令和5年10月時点のものになり、近年の社会情勢や事業環境を踏まえた重要事項の追加やインターネット上で掲載・公表は、まだ掲載されていない状況です。(2025年5月時点での情報)
→東京都のひな形を参照する場合には、感染症や自然災害の発生を踏まえた業務継続計画(BCP)の策定や、人的事故やリスクに配慮した虐待防止や拘束廃止(ハラスメント対策)などの重要事項の追加や、インターネット上で掲載・公表する旨の記載が必要となります。
出典:東京都福祉局ホームページより引用・編集


完璧タイプの大阪府のひな形:記入例は

大阪府で介護事業所を新規に申請・開設する際には、行政への事前説明やチェックが多く、事業所の運営についても、行政からの調査や指導が細かく見られる地域特性があります。
特に大阪府では、高齢者住宅に隣接する訪問介護・訪問看護の過剰なサービス提供を抑制するために、行政が事業所を厳しくチェックして、運営指導を行うケースもあります。(代表的なケースでは、高齢者住宅に隣接する介護事業所や、同一建物内でのサービス提供など)
そして大阪府福祉部のホームページでは、事業所向けの様式ライブラリーを情報提供しており、このページ上に運営規程や重要事項説明書の記入例が掲載されています。
ケース事例:大阪府福祉部「様式ライブラリー」大阪府福祉部「様式ライブラリー」
・1.運営規程記入例
・2.重要事項説明書モデル様式
画面をスクロールすると、居宅サービスの種別ごとの情報が展開します。(施設サービスの情報掲載も別ページにあり)
》》》詳しくはこちらをご覧ください。
・大阪府福祉部「指定居宅サービス事業者 > 様式ライブラリー」
・大阪府福祉部「介護保険施設(特養、老健、療養、医療院)事業者 > モデル様式ライブラリー」

出典:大阪府福祉部ホームページより引用・編集

◆大阪府の運営規程の記入例、重要事項説明書のモデル様式:訪問介護のケース

この記入例は令和6年11月と令和7年2月時点のものになり、近年の社会情勢や事業環境を踏まえた重要事項の追加やインターネット上で掲載・公表にも対応した、モデル様式になっています。(2025年5月時点での情報)
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第二章 訪問介護2
訪問介護の運営規程の記入例を見ると、記入例と並んで留意事項等がコメントされており、書き方や表現を細かに補足する情報が掲載されています。
訪問介護の重要事項説明書のモデル様式を見ると、赤字部分が色分けがされて、最近の改定を踏まえたインターネット上で掲載・公表、業務継続計画(BCP)の策定や、人的事故やリスクに配慮した虐待防止や拘束廃止(ハラスメント対策)などの重要事項が追加されています。
また大阪府が注視する高齢者住宅に隣接する介護事業所や、同一建物内でのサービス提供なども、赤字で掲載されて、そのサービス内容について言及しています。
→大阪府のひな形を参照する場合には、記入例に沿って掲載していくことで、必要充分な内容をカバーできる一方で、作成する事項や分量が多くなってしまうため、実際に提供するサービスに合わせて、調整することも検討しましょう。
出典:大阪府福祉部ホームページより引用・編集


ひな型の比較検証:東京都 vs 大阪府

このように東京都と大阪府のホームページに例示されている、運営規程や重要事項のひな形:記入例を比べても、その書式や文言などの表現は、大きく傾向が分かれる形となりました。
東京都と大阪府のひな型:記入例を検証

比較項目 東京都(標準タイプ) 大阪府(完璧タイプ)
サービス種別 居宅サービスのみ 居宅サービス、施設サービス全般
ひな形の記入例 基本構成と必要最低限の記述で対応 詳細な文言・要件を含み、厳密な運用にも対応
情報時点 令和5年度のものが多くやや古い 令和6年度以降の新しいもの

標準タイプの東京都のひな形
東京都の運営規程の記入例は、必要最低限の内容を掲載したいく傾向が見られ、その文言や表現は簡潔な文章で、コンパクトな分量に収められています。
また情報更新の時点がやや古く、最近の令和6年度の改定を踏まえた重要事項の追加や、インターネット上で掲載・公表する旨の記載が必要となります。
完璧タイプの大阪府のひな形
その一方で大阪府では、運営規程の記入例と重要事項説明書のモデル書式をセットで公表しており、その書き方や文言・表現を細かに補足する情報が掲載されており、規程する事項や分量も多くなってしまう傾向が見られます。(情報更新の時点が新しく、最近の令和6年度の改定を踏まえた項目も記載済み)
加えて管轄する行政側から注視する部分がフォーカスされる意図も読み取れ、高齢者住宅に隣接する介護事業所や、同一建物内でのサービス提供などが赤字で掲載されて、そのサービス内容を細かに規程する部分も強調されています。

例示されている雛形を使う際のポイント

  • 自治体のタイプに応じた選択を
    基本運営で対応するなら「東京都タイプ」、詳細な内容や厳密な運用を目指すなら「大阪府タイプ」が参考になります。

  • 最新の省令・運営基準に対応を
    主に業務継続計画(BCP)の策定や、人的事故やリスクに配慮した虐待防止や拘束廃止(ハラスメント対策)、インターネット上で掲載・公表などが必要です。

  • 事業所に合わせたカスタマイズは必要
    例示されているひな形は、あくまで参考資料です。法務責任を伴うため、各事業所が事業環境に合わせて作成して、法務チェックが必要です。(免責事項にも明記)

東京都と大阪府のひな形検証を振り返り

このコラムでは、介護事業所の運営規程や重要事項のひな形として、東京都と大阪府の記入例を取り上げましたが、管轄する行政によっても、法務面の書式や文言などの表現、規程する細かさのレベルは分かれる傾向になりました。
介護事業所の目線で、これから運営規定や重要事項などを見直しする際には、管轄する行政のホームページや発表資料をチェックして、地域ごとの運営基準やローカルルール(独自ルール)を確認して、法務面の書式や文言などの表現、規程する細かさのレベルをチェックした方が良いでしょう。
「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランでは、運営規程や重要事項のひな形やケース事例も追加していく予定です。
次回予告
続いては、地域密着型サービスについても、行政から例示されているひな形や参考例を見ていきましょう。
》》》次のコラム 3‑7.2025年度版「運営規程や重要事項のひな型検証」地域密着型サービス

◆介護事業所の運営規程や重要事項の解説 シリーズコラム
3‑1. 2025年度版「運営規程や重要事項の解説コラム」イントロダクション
3‑2. 2025年度版「運営規程・重要事項チェック」フローチャート解説
3‑3.2025年度版「書面掲示は簡単に(神ワザ)」スッキリ整理の実践
3‑4.2025年度版「電子掲示は完結に(複合ワザ)」デジタル活用術の手引き 前篇
3‑5.2025年度版「電子掲示は完結に(複合ワザ)」デジタル活用術の手引き 後篇
3‑6.2025年度版「運営規程や重要事項のひな型検証」東京都 vs 大阪府
3‑7.2025年度版「運営規程や重要事項のひな型検証」地域密着型サービス
3‑8.2025年度版「運営規程や重要事項の解説」AIを活用した法務チェック 前篇
3‑9.2025年度版「運営規程や重要事項の解説」AIを活用した法務チェック 後篇

「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランでは、今回のような運営規程や重要事項のひな型やケース事例も追加していく予定です。
》》》ひな形(事例集)の一括ダウンロードは会員コンテンツへ
◆「電子申請のトリセツ」重要事項サポートプランは
介護事業所の運営規程や重要事項にフォーカスして、基本的な制度や規程の解説から、これまでの改定を踏まえた重要事項のチェック、「書面掲示」と「電子掲示」を組み合わせた掲示・公表方法など解説しています。
・URL:https://www.kaigokensaku.net/support-plan/contract_member/
・対象者:介護事業所の代表者や管理者
・主な内容:制度改定を解説するスライド、チェックするフローチャート、「書面掲示」と「電子掲示」を組み合わせた掲示・公表方法、ひな形(事例集)など
重要事項サポートプラン 重要事項サポートプラン QRコード 


参考情報(出典)
介護事業所の運営規程や重要事項等の情報については、厚生労働省や管轄行政の発表資料をご覧ください。
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
・厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護老人保健施設の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「指定介護医療院の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「介護保険制度等における指導監督」
・厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」
・東京都福祉局「東京都介護サービス情報」

・東京都福祉局「事業者へのお知らせ(通知文書等)」
・大阪府福祉部「指定居宅サービス事業者 > 様式ライブラリー」
・大阪府福祉部「介護保険施設(特養、老健、療養、医療院)事業者 > モデル様式ライブラリー」